米国知的財産権日記

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管轄と送達と日本企業」で、日本企業が特許侵害裁判でどこででも訴えられてしまう~~!というお話をしておりました。この点、どうなることかと思っておりましたが、結局「そうなのよ、どこでも訴えられるのよ~~」ということでオチが付きそうです(涙)。

2018年5月9日の「In re: HTC CORPORATION」という巡回控訴裁判所の判決において「そうなのよ、どこでもオッケーなのよ~~。」と確認されてしまいました。
管轄と送達と日本企業 」の回で解説したように、Brunette判決において最高裁判所は「外国人に対する訴訟は米国連邦管轄法のカバー外である」と述べ、そしてTC Heartland事件で最高裁判所が「外国企業の特許侵害裁判管轄地に関してここでは述べませんよ」と言っていました。じゃあ、将来、外国企業の特許侵害裁判管轄地も現在の「米国連邦管轄法のカバー外である」というものから何か制限がされるのかしらん?と少し期待しました。おそらく今回の事件の当事者である台湾のHTC Corporationも同じような期待をしたのかもしれません。ただ、ちょっと言い過ぎちゃったのかもしれず、「管轄法のカバー外だったら、そもそも外国企業は米国特許侵害裁判の対象になり得ないのでは?」という方向に議論が行っちゃったようです。

これに対して巡回控訴裁判所は「HTCの主張を認めると、外国企業は一切特許侵害裁判の対象にならないことになってしまう。」とまさにごもっともな指摘をし、TC Heartland判決はBrunette判決に何ら影響しない、と明示されたものです。

まだ将来的に何か最高裁判所が外国企業の管轄権について意見を述べる可能性はゼロではないかもしれませんが、今回はちょっと「過ぎたるはおよばざるがごとし」な感じのオチがついております。。。


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by suziefjp | 2018-05-11 02:04 | 知的財産権
はい、7ヶ月ぶりの更新でございます(笑)。なぜ毎年この時期に怠惰な私が更新するか、ってえと、ひとえに最高裁判所が2017年度の終わりにわらわらと知財関係の重要判決を出し始めるからなんですな。(米国政府の年度は前年度10月スタートで、翌年夏休み前まで、くらいで考えていただくと良い感じです。)

と、いうことで2017年度第一弾はSAS Institute Inc. v. Iancu事件でございます。(判決文のリンクはお早めに!)これは分かりやすい事件で、皆さんもよくご存知のIPRに関するものです。開始以来大人気が続くIPRですが、IPR申立書では「この特許の請求項A、B、C、Dが、それぞれこうこうの理由で無効だと思います」という主張がなされます。これを受けて従来、PTABは「うーん、あなたの言うことのうち、請求項A、C、Dに関してはアリかも、って気もするんだけど、請求項Bについてはちょっと無理がある感じがするのよねぇ。」ということで、「んじゃ、請求項A、C、Dについてのみ、IPRを開始しまーす」とできたわけです。

ところが最高裁判所が今回のSAS判決で「いやいやいや、申立書に対する判断は、『オッケー♪』か、『だめー!』の二択で、やるなら対象の請求項全部検討する、やらないなら全部やらない、のどっちかしかないわ。」と、明示したのです。PTABが公開しているデータによると、現在、約800件ほどのIPRが進行中だそうで、そのうち20%弱が「申立請求項の一部だけ検討してあげる♪」タイプのIPRなんだそうな。今回の最高裁判所判決を受け、この20%弱のIPRについて、PTABは「修正IPR開始決定書」を発行し、申立書で取り上げられていたすべての請求項をIPR対象に含めるようにするそうです。また、IPRは開始決定から1年以内にPTABが無効判断をする、というスピードも魅力ですが、これら20%弱に関しては「場合によっては1年以内ではなく1年半以内まで延長可能」という規定にもとづいて、延長期間を活用して対処するものと思われます。すでに申立人、特許権者間で証拠開示がある程度終わっているようなケースも、追加される請求項に関する補足証拠開示期間が設けられて延長手続きがとられるものと思います。

SAS判決をうけてすでに4月26日に米国特許庁が「Guidance on the impact of SAS on AIA trial proceedings」と題したメモを発表しており、対応予定の詳細はそのメモでご覧いただけます。

今回の判決は申立人側からは好意的に、特許権者側からは否定的に受け止められています。もし皆さんが上記20%弱に該当する、「申立書にあった請求項の一部のみについて開始」されたIPRを抱えておられる場合、少し忙しくなっちゃいますよ!(PTABでも今回の判決を受けて業務の増加がすでに言われています。)

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by suziefjp | 2018-05-02 01:10 | 知的財産権

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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