米国知的財産権日記

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2014年 02月 08日 ( 1 )

最近は特許侵害訴訟案件とかでもアメリカの弁護士事務所からあらかじめコスト見積もりを取ることがかなり普通になってきたかもしれません。特に日本のお客様の場合、殆どのケースでコスト見積もりを複数事務所からとって、で、事務所を選ぶ、ということをしておられるかと思います。今回のテーマは「アメリカの法律事務所からのコスト見積もりの取り方」です。

皆さんが訴えられちゃった特許侵害裁判対応のコスト見積もりをもらうのはそれほど難しくありません。受け取った訴状を弁護士事務所に送れば多分見積もりを出してくれると思います。侵害品と主張された製品の情報を少し下さい、と言われるかもしれませんが、その程度でしょう。ただし「見積もり」といっても「トータルいくらで」という見積もりは難しくて、おそらく裁判のこの段階までで和解したら、大体いくら、さらにこの段階まで進むといくら、公判まで行っちゃうといくら、という段階別のコスト見積もりをくれるかと思います。
特許非侵害や特許無効の鑑定書をとりたい、という場合はもう少し複雑です。まず無効鑑定書の見積もりだと、無効鑑定を書いてもらう対象特許を知らせます。で、コストを下げる方向で考えるなら、その特許のどの請求項についての無効鑑定、というところまで絞るのが良いでしょう。たとえば、独立請求項についての無効鑑定、という絞り方もあります。対象の請求項数が増えれば増えるほど、コストはアップすると思います。もし自分たちですでに先行技術資料を持っているなら、「この先行資料がこの特許の第○請求項を無効化するか鑑定して欲しいのだけどいくらかかりますか」という見積もり依頼になります。この場合、依頼を受ける弁護士事務所側で「先行調査をしなくて良い」という理解でのコスト見積もりが得られます。また、アウトプットを書面でもらうか、口頭でもらうか、でもコストが変わります。万一に備えて、ヤバイ結果は書面で残したくない(+コスト削減)、ということであれば「まずは電話会議で口頭鑑定結果をもらうところまでのコストはいくらですか」と依頼するのが良いでしょう。口頭による結果が好ましいものであれば、その段階で「今回の口頭結果を書面の鑑定書にしてもらうにはあといくらかかりますか?」と聞けば問題ありません。
もし、依頼先の弁護士事務所で先行技術調査をやってもらう場合、どうやって先行技術調査を実施するのか、先行調査分だけの費用でいくらくらいかかるのか、を確認するのもおすすめです。皆様もご存知かと思いますが、先行技術調査を請け負う会社がたくさんあります。依頼先の弁護士事務所が先行技術調査を外注するのか、あるいは事務所の若手弁護士が米国特許庁に出向いてそこで先行調査をするつもりなのか、によってもコストが変わるかと思います。どちらのアプローチがいい、というのは一概には言えないのですけど、先行技術調査請負会社のアウトプットはかなりムラがあるケースが多いような気はします。依頼先の弁護士事務所が特許庁に近い場所なら(ワシントンDC、ボストン、ニューヨークなど)費用対効果を考えると弁護士さんが米国特許庁に出向いてそこで先行調査をしてくれるほうが良い場合も結構あるかもしれません。見積もりの段階では、「外注したらいくら」「自前でやったらいくら」という二通りの見積もりをもらっておくのが良いかもしれませんね。あと、先行技術調査をお願いするにしてもある程度重要な「キーワード」や「特許所有者」などに心当たりがあるなら、先行調査においては「こういうキーワードを使ってくれ」とか、「この企業の特許は必ず見て」とか、そういう指示をしておくほうがいいです。
そしてアウトプットを書面でもらう場合、クレームチャートまで作ってもらうか、もコストに関係します。まず口頭鑑定をお願いし、結果がよければ、鑑定書としてクレームチャートだけ追加で作ってもらう、というのもアリです。最初から鑑定書を書面でもらう予定なら、クレームチャート込みか否かも確認しておきましょう。
非侵害鑑定書の場合、対象特許の情報に加えて、対象製品の情報を弁護士事務所に出してあげないといけません。対象製品の数や出す資料の量などでもコストがかなり変わると思います。対象製品が複数の機能を持つ場合、絞れるなら「対象製品のこの機能が、この特許の第○請求項を侵害するか鑑定して欲しい場合、いくらかかるか」というところまで絞るとコストダウンにつながります。アウトプットの形状(口頭、書面など)についてのポイントは無効鑑定と共通です。

たかが見積もり、されど見積もり。こうしてみると、色々抑えるポイントがあるんだなー、とあらためて思います。お客様からコスト見積もりにあたってどういうご指示があるか、によって、事務所側も「このお客様はよく分かってるな」とか分かっちゃいます。もし鑑定書等の依頼が初めて、という場合は「初めて鑑定書をとりたくて、コスト見積もりが欲しいのだけど」という風に相談してみるのがいいかもしれません。上記のようなことをきっちり説明してくれる事務所だと信頼していいと思います。そういう説明も無しに「ああ、いくらでできるよ!」というような事務所はちょっと怪しいかも!?

長くなっちゃたので特許権行使の見積もりの話はまた今度♪
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by suziefjp | 2014-02-08 05:29 | 知的財産権

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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