米国知的財産権日記

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2008年 08月 27日 ( 1 )

今回は、各部署の人達にどういう情報をもらうか、ですが、そこに入る前に大切なお話を。。。

ダメージ・ディスカバリーをする上で一番重要なことは、関連部署はどこか、を、同定することです。その製品が企画されて、製造されて、販売されてどう米国に入るのか。そこに関わってくる人たちは誰なのか。まず、これを把握しなくては誰に(どの部署に)話を聞くのが適切か、が、分かりません。ですから、まず、会社の組織図を準備し、関連する部署や子会社などはどこか、を明らかにしましょう。これをするだけでも大変ですが、地道にやるしかないです。。。これは必ず現場の聞き取りをしてください。それこそ、私立探偵になったような気分で、つなげていくしかありません。

で!関連する部署が分かったとします。大体、その例が前回あげたような部署なんですね。商品企画、営業、経理、製造部門、総務、などなど。では、順番に見ていきます:

<商品企画>
これは、その商品が企画された当時、問題となっている技術がどれくらい重要だったか、を理解するためです。そうですねー、例えば、問題の技術がプリンターの高速印字に関する技術だったとしましょう。で、商品企画書などに「市場調査の結果、多くのユーザーは印字スピードに問題を感じており、それほど高い精度が要求されない印字ニーズにおいては高速化がシェア獲得には有効と思われる」とあったとすると、これは「高速印字は市場シェア獲得で重要な役割を果たしている」ということになります。逆に、「多くのユーザーが高速化よりも狭いアパート等での使用のために静音化を望んでいることが分かった」などの記載があれば、高速印字技術が市場獲得に果たしている役割は低い、ということになります。
これは売上に対する技術の貢献度をみるために必要なデータです。また、商品企画書では、コスト試算などもしますから、その技術を実現するために必要なコストはどの程度と見積もられているか、が、分かります。商品全体におけるその技術のコストをみる、ということも、あとでどの程度の利益が当該技術による貢献として割り振られるべきか、を考えるときに効いてきます。
商品企画書には先代機種との差なんかも記載されますよね。これも重要です。なぜそういう変化が必要だったのか、先代機種と比べると何ができるようになって、その分、コストや利益はどれくらい変わるのか、こうしたデータが損害賠償の計算には重要なんです。
ですから、少なくとも、侵害催告を受けた対象製品の商品企画書は必要です。
あと、商品企画部で関連技術分野や製品に関する市場調査を実施したり、あるいは市場調査データを購入してる場合は、これも必要です。

<営業>
営業からは、対象製品の売上データが必要です。売上が直接、米国向けしかなければまだ簡単ですが、他の組織や第三者を経由して米国に入る場合などは厄介です。営業から販売したどれが米国に入るのか、が、分からなくてはいけません。日本国内で第三者に売却し、その第三者が米国に持ち込むような商流の場合、一般的な市場データ等から、「何%程度が米国に入ったと考えられる」という論理の構築も必要です。ですから、営業の方からはまず、しっかり商流を教えてもらいましょう。工場から対象製品が出て、どういうルートで米国に入るのか。これを一番ご存知なのは、きっと営業の方だと思います。
そしてやはり、問題となっている技術の重要度を理解するために、製品カタログ、営業プレゼンテーション等も必要です。これは営業を行ううえで、問題となっている技術をセールスポイントとして重視しているか、を見るためです。これも、その技術の売上への貢献度を判断するためです。たとえば、競合の製品にはそうした技術はないが、うちにはあります!というようなことが営業プレゼンに入っていれば、この技術を使うことが売上を上げるためにはとても重要、ということになり、利益に占める当該技術の貢献度もあがる、ということです。

経理、製造部門の話も重要です。これは次回に。あと、今回は総務をカバーしましょう。

<総務>
総務からは、アニュアル・レポートや有価証券報告書が必要になるかもしれません。対象となっている製品が、会社全体の売上の8割を占めるような主力製品であった場合、会社全体の売上、利益等を知っておくことも重要になります。あと、アニュアル・レポートや有価証券報告書などには技術開発活動の方向性や、製品開発の方向性など、定性的な情報もたくさんあります。定性的な情報を数値算出データとして活用するために定量化するのはとても難しいのですが、少なくとも、自分達の代理人やダメージ・エキスパートにはそのような定性データも提供すべきでしょう。そこから先、相手方に提出すべきか否か、は、代理人やエキスパートが判断することになります。社内で「これは不要だろう」と、勝手に判断してしまわないことが大切です。

うーん、やっぱり訴訟関連って大切なことがたくさんありますし、書いてる途中で「あ、あれも書かなきゃ!これも書かなきゃ!」と、思い出すこともたくさんあります。はー。。。ちょっとしばらく訴訟シリーズになってしまうかも!?でも、少しでも何かのお役に立つとうれしいです。では、また続きは次回に!
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by suziefjp | 2008-08-27 03:53 | 知的財産権

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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