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米国知的財産権日記

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恐怖体験 -デポジション その2

はー、9月は頑張ろうと思ったのに、また結構散発ブログになってしまった。。。でも、とりあえず、続けることに意義がある!参加することに意義がある!なので、書きます。

で、間に怒りの翻訳事件が入っちゃいましたが、デポの続きです。今日は中身ですね。よくアメリカの映画で法廷の様子が出たりしますけど、実はデポジションってあまりないのかな。この間、テレビのアカデミー賞、エミー賞の発表がありましたが、あれで主演女優賞をグレン・クローズが受賞したのは「Damages」という弁護士サスペンスです。日本でもNHKでやってたみたいですね。このドラマでは、弁護士事務所の会議室でデポジションをする様子がちょっぴり出てきます。〔証人が怒って部屋を出て行っちゃうので、それほど長くないシーンですけど。。。)これを見ると「へー、デポってこんなんなんだ」というのがお分かりいただけるかもしれません。速記者が速記しつつ、ビデオが回っている、というのが見て取れます。デポジションの最初に、相手方弁護士が「今日はこのデポのために会議室を提供してくださったXX事務所に感謝します。」というところなんかも、細かく調べて脚本書いてますねー。さすが訴訟ドラマが多いアメリカです。

では実際のデポにあたって、証人の方が注意することをつれづれなるままに書いてみます:

(通訳がつく、という前提で)弁護士が英語で質問しているときに反応しない
たまにね、いるんですよ、意地悪弁護士が。すごい簡単な質問を聞いて、証人が思わず「イエス」とか通訳を待たずに答えちゃうと、「おー、XXさんは英語ができますね!通訳はいりませんね!」とかいうやつ。この後も、大体、通訳つけられるんですけどね、こういう「部分」を編集して陪審に見せたがるわけです。すると、ぜんっぜん本題に関係ないのに「この人って、英語できるのにできないって振りするんだよー、ずるい人なんだよー、こういう人のこと信用できないよねー」と主張するためだけに、陪審に見せたりする。なので、英語に反応してはいけません。あえて、心を無にして、英語は聞かないくらいで臨むのがいいかもしれませんね。

自分の弁護士の発言をよく聞く
英語は聞くな!と、言っておきながら、なんですが、自分の弁護士が相手の質問に対して反対する、というか、「それって聞いちゃいけないんじゃないの?」というようなことを言うときがあります。これ、2種類あって、弁護士が「I instruct my witness not to answer.」というときは、弁護士依頼人間特権に触れる話の場合が多いです。このあと、相手方弁護士が「Do you follow your lawyer's instruction?」と聞きます。普通は「はい、指示に従います」って言うと思います。だから、答えないことになりますね。こういうやりとりも通訳してくれますから、とにかく、通訳さんの話をまってから話す!これがポイントです。それとは別に、「objection」したあと、自分の弁護士が、自分に向かって「you may answer」という指示をすることもあります。これは答えてもOKということです。

聞かれたことにだけ答える
これは情報を自発的に提供しない、ということです。相手に聞かれたことにだけ答えます。はい、いいえ、で、答えられる質問なら、はい、いいえ、で答える、そうじゃないなら、答えに必要な範囲でこたえる。「ところで、、、」とか情報を積極的に開示する必要はまったくありませんし、そうしたことをすると、自分の弁護士の額に青筋がたつかもしれません。そういう情報を引き出すのが相手弁護士の責任だし、腕の見せ所だから、別に助けてあげる必要はないかな、と思います。

疲れたら「休憩したい」と素直に言う
日本人の方は結構遠慮しちゃうかもしれませんが、「トイレ行きたい」とか、「ちょっとタバコ吸いたい。。。」とか、「疲れたので5分休ませて」とかは、言ってもいいですよ。あまり頻繁だと「非協力的」とか言われますけど、常識の範囲では全く大丈夫です。意識朦朧としながら〔おなかゴロゴロいいながら、とか。。。)続けて、ほんとはそうじゃないことを言っちゃう方がよっぽどダメージが大きいので、ここは怖れずに言いましょう!

大きくは、ほんと、この2つなんですよね。でも!!日本人が通訳を通して証言を取られる場合、2日間、というパターンが多いんですね。通常、英語だと1日だけど、通訳が入って2倍かかるから、2日間。これ、2日間、会議室にカンヅメで朝から晩まで質問攻めされて、ビデオとられて、って、なってくると、ほとんど拷問ですな。で、だんだんワケわかんなくなってくる。これが相手弁護士の狙いか!?という気もしますが、これはやった人にしかわかんないです(私は自分が証言をとられたことがないので、実は分からない人なのです。ごめんなさい。。。)

特許侵害裁判の場合、「侵害・非侵害の決定」と「損害賠償算定」のフェーズがありますが、これ、デポジションでもすごく色が出ます。侵害・非侵害の決定、って技術のお話じゃないですか。すると、ここでの証人ってほとんど技術者の方になります。で、損害賠償算定になると、経理の方や営業の方が証人になります。

技術者の方は、技術の話で盛り上がってくると、情報を提供しすぎちゃう傾向があるようです(笑)。純粋な、エンジニアとしての好奇心というか、なんというか。ほほえましいですが、たまに、イスを蹴ってやろうか、と思うくらい話しちゃう人がいますね。。。「聞かれたことにだけ答える」。鉄則です。

経理・営業の方になると「なんでこんなことされなきゃいけないんだ!?」という思い、あるいは元々営業の方とかは弁が立つ方が多いからか、相手方弁護士に挑もうとする人がいます。。。相手の聞き方は確かに悪い、悪い、悪いけど、「何を聞いてるのか全く理解できませんね。ちゃんと整理してください」って言っちゃったり。相手を怒らせるのもあまりいいアプローチではありません。なのでこれも、とつとつと、聞かれたことに答える、無の境地、これですよ、これ。

いやー、裁判ってほんと、奥が深い。。。お金がかかる。。。。
by suziefjp | 2008-09-26 08:15 | 知的財産権

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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