特許の経済的価値を知るには?
今回は経済的価値評価のお話をしたいと思います。と、いうのも、これまであまり知財の経済的価値を気にしなかったトップマネジメントが「あのさー、うちもいざというときのために、うちが持ってる知財の価値をざっくり計算しておいてよ」というお題を知財部門の方に丸投げし、困った知財部門の方が「あのー、いざというときのために価値算出を。。。」とお問い合わせくださることが増えたからです。
まず、いざというときのための知財評価なんてもんは存在しません!! これ、本当にこういうお題を投げられる知財部門の方が気の毒です。。。そもそも、こういう価値評価って最初に目的がないとダメなんですよ。M&Aの際に、知財取得分として支払う予定の金額の正当性をみる、とか、何のために知財の価値を知る必要があるか、で、算出アプローチも変わります。「いざというときのために知財の価値をざざっと見といてよ」という段階で、経営者、知財経営からとても遠いところにいる、と、言わざるを得ません。ああ、知財担当者が不幸。
マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチ、など色々な知財評価アプローチについて日本でもたくさん本が出てますが、結局のところ、知財の経済評価は企業価値評価と同じで、将来の精査に耐えうること、誰にも「これは間違いだ」と言われないことが重要です。すると、どのアプローチだったら本件では精査に耐えられるのか、が、揃っている資料によってかなり左右されてしまいます。いくら「このアプローチがいいな♪」と思っても、それをするための正しいデータがなければ別のアプローチでやるしかないんです。
私達は経済的価値評価のお問い合わせをいただくと、まず基本情報として以下をおうかがいします:
・何のために価値評価するのか?
・いつまでに評価結果が必要なのか?
・こういう資料が必要だが、それはあるのか?
これらを元に、どのアプローチが可能か、を判断します。ですから、経営者や他部門から知財の経済的価値評価の依頼を受けた知財部門の方も同じように聞いてみるといいのでは?と思います。なんのために、いつまでに評価が必要なのか、そのために必要なデータはそろってるのか?これに回答できないレベルで依頼をしてきた経営者や関係部門には「おとといおいで」と、言っちゃいましょう♪
ところで、マーケットアプローチは、評価対象知財と同様の知財が巷でどれくらいで取引、ライセンスされてるのよ?ってのを見るわけですが、アメリカではRoyalty Sourceなどの便利なウェブサイトがあります。これで、よく似たタイプの知財ライセンスにおけるロヤルティ(使用料率)なんかが調べられます。これ、結構日本の方に申し上げると「そんなサイトがあるんですか!」と驚かれます。(私の功績じゃないけど。。。)ふっふっふっ、あるところにはあるんですよ、ツールが!
知財評価は大きなトピックですし、本当に知財経営の基本にもなるところですから、少しずつ、情報を追加していきたいと思っています!