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米国知的財産権日記

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不況だからこその課題

いやー、、、景気悪いですね。今更、っちゅう感じですが、ほんとに不況。うちの会社もウェブサイトの「Career」のところにたくさん出ていた募集も、今は「募集してません」に変わりました。最近は、人気レストランでも結構すぐ予約できちゃうそうな。みんな外食をしなくなってきてるんでしょうか。同僚のお姉さんが今年ロースクールを卒業ですが、就職が無いらしい。アメリカのロースクールなんてすんごい高いし、みんな弁護士として就職して、そのお給料でローンを返す予定だったのに、どうなるのでしょう。。。

不況になると採用が減ると同時にレイオフが増加。レイオフされなくても、これを好機と見て独立する人たちも出てきます。そこで最近アメリカで話題になるのが人とともに知財が流出することをいかに防ぐか、です。この関係で、連邦法ですがComputer Fraud and Abuse Act (CFAA)というのがあります。これは、従業員に使用させているPCを含む電子データの取り扱いに関する法律です。今日も知財関係のコラムに出ていました。

今年の判決で、Lasco Foods Inc. v. Hall and Shaw Sales, Marketing & Consulting LLC というのがあるのですが、これは会社を辞めた従業員二人を会社が訴えたものです。かいつまんでいうと、この従業員が会社が貸与していたPCを会社からの要求にもかかわらず1-2ヶ月程度返却しなかったこと、そして、データを削除したことが会社に損害を与えた、というものです。

CFAAは雇用主が被る損害(damage)を「any impairment to the integrity or availability of data, a program, a system, or information」(データやプログラム、システム、情報の完全性を損ねたり、その使用やアクセスを損ねること)とし、損失(loss)を「any reasonable cost to any victim, including the cost of responding to an offense, conducting a damage assessment and restoring the data, program, system, or information to its condition prior to the offense, and any revenu lost, cost incurred or other consequential damages incurred beacuse of interruption of service」(データやプログラム、システムや情報を問題が起きる前の状態に回復するために要したコストや、問題への対応、損害の算定に必要なコストを含む合理的コスト、そしてサービスの提供の妨げにより発生した売上の損失、コスト、その他の偶発的損害をも含む)としています。さらに「損害」は「a cost of investigating or remedying damage to a computer, or a cost incurred because the computer's service was interrupted」(コンピュータへのダメージの調査やその回復に要したコスト、またコンピューターが使用できなかったことにより発生したコスト)も含みます。

このケースでは元従業員が物理的にPCをある期間返却しなかったことにより、会社側はそのPCを使えませんでしたから、使用やアクセスが損なわれてますし、実際に、従業員はデータを消してPCを返却したようで、会社側はデータが削除されているか、どのようなデータが削除されているか、を調べるためにフォレンジック・サービスを使っています。これに要した費用もすべて「損害」になります。コラムでも言っていましたが、あまりややこしくシステムとは、情報とは、とかを技術的に考察するよりも、常識的にCFAAを適用した、という感じです。

こういうのは営業担当者が会社を辞めるときに日本でもありそうな話ですね。一番重要なのはやはり顧客データ、お客様とのやりとり、とか。顧客データの持ち出しは日本でもよく問題になりますが、お客様とのメールでのやりとりなんかは日本の場合どういう扱いなんでしょうね?CFAAの場合、そういうものを「ええい、辞めてやる、もっかいゼロから顧客開発せえっ!」という感じで削除しちゃうとアウト、という感じですねー。レイオフされた日にはムカついて削除しちゃうかもしれませんが、レイオフされるは、それで後で会社から訴えられるわ、ではシャレになりません。人間、一時の怒りで行動するとイカン、ということでしょうか。(私は一時の怒りで、というより、ネチネチ根にもつタイプかもしれない。。。)

このほかにも、特にエンジニアの方が辞める、あるいはエンジニアの方をレイオフしちゃうときは、できかけの発明なんかがエンジニアの方と一緒に消えちゃう、というのを会社側は一番怖がります。そのあたりはまた今度のトピックということで。

不況だよねー、という話で、友達に「日本でカップケーキ屋さんになりたい。日本ってまだカップケーキがあんまりなさそうなんだもん。あんなにかわいくておいしいのに。」というと、とうとう不況が脳に来たか、あるいは新型インフルにやられたか、という反応をされました。本人、結構真剣だったんですけど。。。(泣)
by suziefjp | 2009-05-07 01:22 | 知財経営

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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