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米国知的財産権日記

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私は知的財産権の価値評価とか、侵害裁判での損害賠償額の算定なんかはよくさせていただくお仕事分野の一つです。なので、そのあたりにかかわる事件には敏感に反応してしまうのですが、先日、ミネソタ地裁で私にとっては「トンデモ」な判決がありました。。。

Ecolab USA, Inc., et. al. v. Diversey, Inc., 0-12-cv-01984 (MND May 14, 2015, Order) (Nelson, J.)という事件なのですが、要は被疑侵害者がこの訴訟の防御にいくら使ったか(弁護士費用やエキスパート証人費用)は、合理的ロヤルティの算定において、関係性があるとして参照されるべき、という話なんですよ。それってちがうんじゃないの!?と個人的には激しく思っておりまして。特に小金稼ぎの特許トロールとかがとんでもない侵害主張をしてきた場合、会社のポリシーとして「これに屈したら似たようなトロールにまたターゲットにされてしまう」という理由で戦うことを選ぶことも多々ありますよね。それって、問題の特許の価値とか、被疑侵害品の価値とかにかかわらず、会社のポリシーとしてそう決めざるを得ないときもあるわけで。そういうところをおいといて、「高額の弁護士費用をかける、ということはそれだけかけてもまだ利益がある、という当該被疑侵害品の被疑侵害者にとっての重要性を示唆しており、加えてそういう利益率・重要性の被疑侵害品の製造・販売を継続するために被疑侵害者が支払うであろうロヤルティ額の算出においてその事実が参照されるべき」というオチみたいです。で、「the Court finds here that post-hypothetical negotiation information regarding the amount of money spent to investigate and defend the ability to continue to market the accused product without obtaining a license is relevant to the calculation of a reasonable royalty and may be presented to the jury.」(当裁判所はライセンスを得ることなく被疑侵害品を市場に提供し続ける能力を調査しかつ同能力を防御するための費用に関連する仮想交渉後情報は合理的ロヤルティの算出に関連するものとして陪審に供され得ると判断する)と。

根拠としては、ジョージア・パシフィックファクターの第15番目の項目にある「対象特許発明を使用して製品を製造・販売しようとした潜在ライセンシーが、支払ったとしてもある程度の利益が手元に残るため喜んで支払おうと考えるロヤルティ」に該当する、ということらしいんですよ。

うーん、なんとなく分かる気はするけれども、本当に被疑侵害品の利益率とは離れて、どうしても防御しなければいけないとき、というのが各社の事情であると思うんですよね。そういうときに、この判決をベースに「今までかけている弁護士費用とエキスパート費用額を出せ、それだけ支払えるなら高額のロヤルティが払えるはずだ」とか特許トロールに言われたら、はらわた煮えくり返って憤死しそうです。。。

裁判地がミネソタなので、日本企業の皆さんにとってはミネソタに子会社があるとかじゃない限り、あまりお世話になる可能性が少ない裁判地かもしれず、だとすると影響は少ないかもしれませんが、なんかしっくりこない決定です。カリフォルニアとかデラウェアとかで、ガツーンとこれをひっくり返す決定が出てくれないかなー〔テキサスには期待できないですよねぇ。。。)
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by suziefjp | 2015-05-22 07:16 | 知的財産権 | Comments(0)

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