米国知的財産権日記

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日本はゴールデンウィークですねー。
そんな中、アメリカでは4月29日に最高裁が二つの知財関係の判決を出しています。知財系ニュースサイトでBreaking Newsと速報が出たくらいのニュースなので、明日以降、いろんな弁護士さんがこれについてコメントとか記事とか書かれるんじゃないかと思うのですけど、個人的にはびみょー。

判決は、裁判後に相手方に「訴訟費用返せ!」と要求することに関するものです。二つありまして、一つはOCTANE FITNESS, LLC v. ICON HEALTH & FITNESS, INC.という判決、もう一つはHIGHMARK INC. v. ALLCARE HEALTH MANAGEMENT SYSTEM, INC. というものです。お金の計算が大好きな私としては、興味ある判決ですが、いまひとつスッキリしない。。。

えー、めんどくさがりの私がですね、めんどくさがりなりに思いっきり要約しますと、Octaneのほうは、「訴訟費用返せ!」と要求するためには問題の裁判事件がexceptional case、つまり例外的事例であった、と示すことが必要なわけですが、このexceptional caseの基準に関するものです。このexceptional case、実はハードルがかなり高くて、よっぽどひどい行いを裁判中にしない限り、あるいはもうディスカバリで証拠として「いや、侵害してないと思うけどさ、でも、競合としてめざわりだから、嫌がらせ的に特許侵害裁判しかけてやる!」とか、そういうのが出てこない限り、あんまり認めてもらえなかったんですよ。これまでの基準は「客観的に見て根拠が無い裁判だった」か、「主観的にみて悪意があった」というもので、ハードルが高かったんですね。で、今回の最高裁判断で、いや、それはハードルが高すぎですよ、そこまでじゃなくても、通常の裁判に比べてstand out(目立つ?突出する?)してればexceptional caseということで。。。となったわけです。

おそらくですね、これでトロールがいい加減な裁判を起こすことを躊躇する、とか色々コメントとか記事がでると思うんですよね。でもですね、経営コンサルタント時代に「物事を把握するための最も基本的な方法は「比較」である」と叩き込まれた私、他の事件とくらべて突出する、と言われても、まずどの程度の事件とくらべて議論すればいいのか、突出する、ってどの程度の突出なのか、とか、はてなマークが頭の上を飛び交っております。。。確かに要件が緩くなったのは間違いないんですけど、どの程度緩くなったのか、ってのは結局、これからの判例で傾向を判断するしかないんじゃないかなあああ?stand outって言われてもねー、という感じです。

もう一つのHIGHMARK INC.の判決はもう少し分かりやすくてですね、exceptional caseの判断をするときに、「金返せ!」と言われた方の当事者の行いが確かにヒドかったか、というのは地裁がまず判断するわけですが、これまで、その「ヒドかったかどうか」の地裁判断を控訴裁がゼロベースで見直していました。で、今回の最高裁判決は「ヒドかったかどうか、は、事実として地裁が決めることであって、控訴裁がゼロベースで見直すべきものではない。ヒドかったかどうか、を決めるにあたって、地裁判事がその裁量権を濫用したか、を判断するのが控訴裁の仕事である」としました。まあこれは、なるほどねー、って感じなんですけどね。

きっと明日、たくさん「ますますトロールへのプレッシャーが強くなった!」とか、すっごい色々コメントとか記事が出て弁護士さんたちが盛り上がるんだろうなー。私のほうは「そんな盛り上がるほど気持ちいい判決ですかい?」っていうあまのじゃくモード。。。今後の判例でどういう要件が満たされれば「stand out」なのか、が、クリアになってきてから、遅ればせながら盛り上がるか決めたいと思います(笑)。
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by suziefjp | 2014-04-30 05:26 | 知的財産権 | Comments(0)

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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