「ほっ」と。キャンペーン

米国知的財産権日記

iptomodach.exblog.jp
ブログトップ

<   2014年 01月 ( 3 )   > この月の画像一覧

大人気のIPR

最近、お問い合わせが多いのはなんといってもInter Partes Review(IPR)です。IPRは2011年9月16日に発効したthe America Invents Act (AIA)でこれまでの当事者系再審査に代わるものとして提供された手続です。IPRはPatent Trial and Appeal Board(PTAB)の行政特許判事(APJ)3人から成る合議体で決定されます。ちなみにAPJになるには弁護士資格が必要です。(米国特許庁の人材募集で「APJ募集、要弁護士資格」とあったので(笑))

色々これまでの当事者系再審査と違う点があるわけですが、実務をやっている中で大きい変化だと思うのは:
1.手続開始決定から基本1年以内、最長1年半以内に手続が終了すること
2.当事者同士で和解できること
かと思います。当事者系再審査の場合、1のような期限が無かったですね。IPRのご要望が増えているのは、わりと短期間(手続開始から最長18ヶ月)で結果が出る、という点が大きいのだと思います。あと、当事者系再審査は和解できず、いったんはじめたら最後までやるしかなかったんですが、当事者系レビューは和解が可能ですから当事者同士でライセンスに合意すればIPRを和解する、ということもできます。訴訟と比べると費用も安い(比べると、ですよ?)し、無効立証に必要な基準も訴訟より低いので無効確認訴訟よりもIPRのほうが人気なのかもしれません。あ、あと再審査にくらべて連邦地裁のステイ率が高いんですよ。IPR手続中の同じ特許で特許侵害訴訟が提訴された場合、IPRの結果が出るまでその訴訟がステイされる確率が大体70%くらいです。(裁判地にもよりますが。)

ではいつでもIPRが使えるか、というとそうではないです。ざっくり言ってしまうと、IPRを申し立てたい人は以下の要件を満たすことが必要です:
•無効のベースとなる先行技術が文献または特許であること
•対象特許の侵害訴訟を過去1年以内に提訴されていないこと
•対象特許について無効確認訴訟を提訴していないこと
•(2013年3月16日以降に出願された特許の場合)登録から9ヶ月超経過していること

ですから、「既存製品に使用されていた」のように製品が無効資料となるものは不可です。無効資料は文献または特許でなくてはいけません。よって無効資料を探すために先行技術調査等をなさると思うのですけど、「合理的に考えてこのIPRで述べることができたであろう事由にもとづく主張を将来してはいけない」という制限があるので、できるかぎり先行技術調査はしっかりなさるほうが良いでしょう。もうちょっと広範にサーチかけていれば見つかったのに~~、みたいな良い無効資料が後で見つかっても、それを使ってあらためてIPRを提訴する、ということが許されない可能性があるのでご注意を。で、IPRの申立後、6ヶ月以内にPTABがIPRを開始するか否かを決定してくれます。申立準備は結構大変で、既述の通りある程度しっかりした先行技術調査も要りますし、申立書はクレームチャート込みで60ページ以内に抑えなきゃいけない(しかも行間はダブルスペース!)のでかなり書くのも難しいし。。。とはいえ、やっぱり訴訟に比べれば使いやすいのは事実かと思います。IPRでよく言われるのが「ディスカバリ(証拠開示手続)がある」ということですけど、これもかなり限定的なんですよ。そもそもお題が「無効性」だけだから、それに関するディスカバリだけとなれば訴訟における広範なディスカバリ(非侵害やら損害賠償やらに関する証拠開示も含む)より俄然範囲は限定されます。

大事な情報としてお金の話を。。。弁護士費用を除く、米国特許庁に支払うお金ですが申立時に$9,000プラス20を超える請求項一つ当たり$200が必要です。このお金は返金されません。これに加え、$14,000プラス15を超える請求項一つあたり$400も同時に納入するのですが、こちらはIPRの申立が否決されて手続が開始されなければ返金されます。ただし、たとえば18の請求項について申し立てたけど、10については開始が決定し、8については否決された、なんていう一部認可の場合、$400X3=$1,200は戻ってきますけど、$14,000の部分は戻ってきません。この特許庁に支払うお金プラス弁護士費用がかかるわけですから、決して安くはないんですよ。あくまでも、訴訟に比べれば安いってことかと思います。

ちなみに米国政府会計年度2013年度(2012/10/1~2013/9/30)は563件のIPRが提訴されましたが、2013年10月1日から始まった2014年度はすでに361件!いやー、ほんとによく利用されてます。

IPRはたくさんお話しできることがあるのですけど、ここで全部を説明するのは難しくてなんだか中途半端でごめんなさい!
[PR]
by suziefjp | 2014-01-31 01:04 | 知的財産権 | Comments(0)
自宅ケーブルテレビではしっかり「テレビジャパン」を視聴している私ですが、去年の終わりごろ、「太陽の罠」というドラマが放映されてました。いやー、すごい。知財社員がドラマの主人公になる日がくるとは、日本もすごいですね。日本でご覧になった方も多いと思いますが、実際に特許トロールとのちゃんちゃんばらばらを日々やっておられる方からご覧になるとツッコミどころ満載だったかと思います(笑)。それでもこういう話をネタにドラマを作ってくれた、というのはすごいことで知財関係者としてはうれしい限りです。

と、感謝の気持ちを示しつつ、それでも突っ込まずにはいられない、それは私が大阪人だから。。。なんといってもぜひ突っ込んでおきたいのは石田ひかり演じるカリフォルニア州弁護士でしょう!!まず、オフィス、暗すぎですから!!(笑)あんな暗いオフィスはないだろー。そして、お客様に対して「4億?それじゃあ和解は無理ですよ。」なーんてことを、私も言ってみたい!!普段、弁護士費用の捻出、さらに和解金のご負担、とお客様が大変なことは分かっているので、こんなことを言ったが最後、そのお客様は二度と私を使ってくれない気がする。。。そして、お客様の会議室と思われるところで、これまで旅行した先のステッカーを色々はっていると思われる銀のスーツケースをガッコンと会議テーブルに載せ、ガバッ!と開けて取り出した書類がなんと「鑑定書」!!ないない、それはない!機密書類はチェックインしないといけないようなスーツケースに入れませんから!機内持ち込みですから!b0149998_6415736.png多分、弁護士さんだといわゆる「Litigation Bag」と呼ぶようなこの手のものにいれて運ぶかも。

いやいや、しかしなんといっても最大のツッコミどころは最終回の「デポジション」ではないでしょうか。いやー、ウケた。。。まあドラマですからね、あれくらいのデフォルメは仕方ないのかもしれません。ドラマではトロールの内部の人間ではない、日本人コンサルタントがデポをされたわけですが、普通に考えると当事者ではないので召喚状が当該第三者であるコンサルタントにイシューされ、それに応じる形でデポをされることになります。初期ツッコミポイントは以下でしょうか:
   •コンサルタントの弁護士が不在
   •コンサルタントのデポに弁護士以外の関係者(トロールのメンバー、訴えられた日本企業従業員)が多数出席
   •やっぱり部屋が暗い
通常、デポは最高レベルの機密内容、Attorney’s eyes only(弁護士しかアクセスしてはいけない)情報であることが殆どなので、弁護士以外の関係当事者がずらーーーっと出席するというのはほぼありません。さらに我らが石田ひかり弁護士が「私達はあなたが情報をもらしたのではないかと疑っています」。。。えーと?これは間違いなく「Objection, ask questions」(異議あり、意見をのべるのではなく質問をしてください)と相手方弁護士に言われるところです。さらに、本番のデポを経験した方は、court reporterと呼ばれるデポの一言一句を記録する方が同席することをご存知だと思いますが、なんとなんと、court reporter泣かせの日本語会話!(笑。てか、多分ドラマにcourt reporterいなかったんだけど。)そして極めつけは、コンサルタントのデポなのに、主役の知財社員がしゃべりだしちゃったよ~~~!!!

いやあ、楽しい。最高です。第一話で特許トロールがミッション・インポッシブルのような出で立ちでターゲット企業を双眼鏡で監視しているところもかなりウケましたが、このデポジションにはナニモノもかなうまい。

と、おもしろがっていますが、やはりこういうネタをドラマにしてくれた、というのは知財関係者にとってはうれしいことです。知財ってどうしてもマニアックな印象なので、ドラマになるなんてうれしい驚きです。もう尾美としのりさんが「パテント・トロール」なんて言葉を台詞で言ってくださって大感動ですよ♪

ちなみに、まだ米国で特許トロールを扱ったドラマや映画はないと思います。リーガルドラマは多いですねー。しかも、良くできてる。私はリーガルドラマの中ではグレン・クローズ主演の「Damages」が一番好きです。グレン・クローズ、すばらしいです!

ところでこちらの同僚に「なんと日本で特許トロールとかドラマになってんだよ。」という話をしたら、もうみんなおもしろがって、見たい見たいと。テレビジャパンさん、字幕つきでもう一度放映してくれませんか?(笑)
[PR]
by suziefjp | 2014-01-29 04:31 | 知的財産権 | Comments(0)
えー、大変ご無沙汰しておりまして、4年ちょっとぶりの更新でございます。。。
相変わらず知財のお仕事をしてますが、知財関係の集まりでたまたまお話しする機会をいただいた方に、たまーに「ひょっとして知財ブログやってませんか?」と突っ込んでいただくこともあり、読んで下さってたなんて感激〜〜!なんてこともあったりしまして。もともと私が知財のお仕事を始めたときに、わかりやく知財の情報を集められるものが無かったので、同じように思ってる方のお役に立ったらうれしいなあ、というゆる〜い感じで始めたので、これからもゆる〜く、ちょびちょび書いていきたいと思います。

この4年の間にいろいろありましたねー。4年前はインテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)が「いつか特許訴訟の大攻勢をしかけて普通に特許トロールになるんじゃないか」とかウワサされてましたが、今ではすっかりIVによる特許侵害訴訟は「ああ、またやってる。。、」くらいのレベルになりましたし、アメリカでは連邦、州レベルで特許トロール対策の必要性が叫ばれるようになりました。Federal Trade Comission(FTC)が特許トロールの実態調査に乗り出しましたしねー。これはご存知かもしれませんが、現在、FTCがワイヤレス技術の分野で特許トロールの実態調査をしています。なんといっても政府がやることですから、召喚状とか出してトロール本人(本社?)からガンガン情報を集めてやってるので、どういう結果がでるのかちょいと楽しみです。結果がオープンになったらまた報告しますね。

更新再開一発目、ネタは何にしようかなあ、と思いつつ、結局「えいご」ネタで。。。もうアメリカに住んで○年、いやあ、英語、うまくならんもんですなあ(笑)。笑いこっちゃないですが。いまだに、急にbotanical garden(植物園)とか聞いたら「豚肉ガーデン」に聞こえるし、「better get going」(そろそろ行ったほうがいいんじゃない?)とか言われたら「べルギ公園」に聞こえる。。。まあねー、すっかり大人になってから英語やったらこんなもんか、と開き直っております。

とはいえ、仕事柄、せめてちゃんと英語がかけないと非常にまずいわけですが、アメリカ人でもみんな上手にかける訳ではないのか、リーガル文書を書く人向けに文書を推敲してくれるソフトウェアという便利なものもあったりするのですな。WordRakeなんかがそれです:
http://www.wordrake.com/

どうも弁護士さんとかが書く文章は無駄に長い傾向があるようです。というか、そういう風に書くのがリーガル文書、となぜかどこかでそのような認識ができてしまったのかもしれません。でも文章ってコミュニケーションツールなので分かりやすければそれにこしたことはないですよね。WordRakeではそういうムダなところを削除したりして分かりやすい文章にしてくれるみたいな印象です。

ウチの事務所はこれを契約してるんですが、料金はどれくらいなのかなあ。無料で閲覧できる「TIPS」を読むだけでも、結構「あ、なるほど!」と思えることがあるのでお役に立つかも。毎週水曜発行の無料メールマガジンとしてTIPS は発信されているので、ご興味あればぜひ読んでみて下さいね♪
[PR]
by suziefjp | 2014-01-19 04:14 | えいご | Comments(0)

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


by suziefjp