米国知的財産権日記

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不況も止まる勢いが見えないところに、今度は豚インフルエンザ。昔、鳥インフルエンザはbird fluと言ってたので、豚はpig fluかと思ったら、これはニュースでswine fluってやってます。ふーーーん。

さて景気に影響されるビジネスとかをcyclicalという言い方をしますが、知財はこれまでcounter-cyclical、つまり市況に影響されない、というのが通説だったんですね。このブログでも何度か紹介している特許オークション。この一番最近のものが3月末に開催されましたが、この結果を見ると特許流通も実はconter-cyclicalではないのね、という気がします。(そして3月末の開催モノをなぜ今頃カバーするか、というと、私がブログをお休みしてたから、っちゅう理由なんですが。。。)

フジサンケイビジネスアイの記事に出ていましたが、80超のロットが出品され、そのうち落札されたのは6ロットのみ。残念ながら1割いかなかったんですねー。落札総額も$3M弱と、いつものオークション(落札率50%超、落札総額$10M超)からみると寂しいですねー。現金獲得のために普段なら市場に出ないような特許を割安で市場に提供している特許所有者もたくさんいるのは間違いないのでお買い得なのですが、買いたくても先立つもの(お金♪)がないと、買うに買えない、というのは実は知財取引でもおんなじだ、と。知財(特許)はなんだか特別扱いされがちの資産でしたが、こうなってみると、結局他の流動資産と同じなんだよねー、というのは、ある意味、知財資産の位置づけが他の資産に近づいた、という良いニュースなのかもしれません(ポジティブ・シンキング)。

そういえば、インテレクチュアル・ベンチャーズも最近は特許を買ってない、という話ですし(ほんとかウソかは知りませんよ??業界のうわさ。)、知財も今は買い手(お金さえあれば、、、)市場みたいです。私も先立つものがなくては!と、思って宝くじを買ったら、2ドル当たりました♪投資額は5ドルだったけど(泣)。ま、これから当たり始めるぞー!という兆候ということで(ポジティブ・シンキング)。
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by suziefjp | 2009-04-28 07:07 | 知的財産権 | Comments(0)
1ヶ月のご無沙汰でございました。。。ちょっと私用でしばらくブログが出来ていなかったのですが、その間に色々な皆さんがコメントを下さっていてうれしいです。徒然なるまま、、、に書いていますが、見てくださる方がたくさんいらっしゃると「頑張らねば!」と思えます♪ 知財ってまだまだ世界が狭くて私自身「そんなもんなのよー。」と、本来疑問を持つべきことをそのまま受け入れてしまってることもたくさんあると思います。なので、皆さんからのご質問、ご指摘は本当に勉強になります!シカゴにいながら色々な皆さんのお力をいただいて勉強させてもらえる、ブログってすごいなー、とあらためて感動です。

そういう「目ウロコ」の一つだったのが、この間、友達と話したhypothetical negotiationの話です。hypothetical negotiation は以前、合理的ロヤルティの算出にあたって検討する項目としてジョージア・パシフィック・ファクターの回で紹介したかと思います。特に個人発明家や特許権行使会社が原告で、たくさんの事業会社がざざざーっとまとめて訴えられているような、いわゆるトロールっぽい特許侵害裁判では、我々ダメージ・エキスパートにとってはhypothetical negotiationがいつだったのか、というのはとても気になるのです。その理由を友達に説明したら、「そういうのが知りたい情報なんだよー!!そうだったんだー!」と、ウケたんですよ。それで、「ああ、こういうのがポイントなのね!」と、思った次第で。

で、なんでこれが大事か、というと、ダメージ・ディスカバリーの中では、侵害が争われている特許の所有者の「ライセンシング・プログラム」の有無、その内容を必ずチェックします。これは合理的ロヤルティ額(または率)を想定する一つのヒントになるわけですが、その中で、特にライセンスで食ってるような会社の場合、first licenseeもしくは最初の数社には優遇ロヤルティでライセンスする、というケースが結構あります。実際に催告相手との交渉に出たりする皆さん、覚えが無いですか?相手が「君たちがまず和解してくれたらロヤルティは他社より安いものにするよ」みたいなことをちらつかせて和解を図ろうとするケース。これ、よくMBAプログラムのゲーム理論でやる「囚人のジレンマ」というヤツでしょうか。

囚人のジレンマはご存知の方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、共犯二人がつかまり、それぞれ別々に取調べされるときに、「二人とも黙秘したら懲役2年、君が自白して相手がしなかったら君だけ減刑して1年にしてあげよう。相手は15年だ。逆だったら君が15年、相手が1年。二人とも自白したら懲役10年だ」というオファーをし、さあ、どうしたものか、と、囚人が悩みまくる、、、これです。詳細はwikiでご覧いただけるので「囚人のジレンマ」で調べてみてくださいね(うまくリンクがはれなくて。。ごめんなさい。)

まだ訴訟になる前、催告の段階でやはり複数事業会社が対象にされているようなケースでは、業界関係者では多少、情報交換をします。「おたく、どうっすか。。。?」みたいな。でも、そこで共有される情報を信用するかどうか、そもそも情報を共有するか、これは分かりません。催告者が「あなたが最初にライセンスをとってくれたら、あなただけは格安一括金ライセンスでいいよ」ということを言ってるかもしれません。自分達が最初に和解したら、その和解が特許の有効性を担保するようにとられて、他社が不利になる、でも、自分達の和解金は少なくてすむ、もし他社が先に和解したら、、、みんなが和解せず、無効をあらそって戦ったら、、、、知財担当者は日々、こういうジレンマの中で生きてるんですね。そりゃストレスもたまります。

そこで訴訟になると!hypothetical negotiationのタイミングが重要になってくるわけです。hypothetical negotiationはwilling licensorとwilling licenseeの間での交渉を想定します。だから、「あなたには格安で一括金ライセンスをあげるわん!」「あら~ん、うれしい、ぜひぜひ♪」というまさに仮装、ちがう、仮想交渉ですな。そうなると、hypothetical negotiationのタイミングが一番早い人の合理的ロヤルティ額が一番低くなるハズです。ですから、我々ダメージ・エキスパートは複数被告が侵害で訴えられていて、そのうちの一社だけのためにダメージ・オピニオンを準備するときは、弁護士さんにお願いして他の被告のダメージ・エキスパートと話をさせてくれ、と、お願いします。目的はもちろん、自分達が代理している被告のhypothetical negotiationのタイミングが一番早い、と言えればいいなあ、というものです。また、複数被告が存在するケースで、それぞれ代理の弁護士さんは違いますが、ダメージ・エキスパートだけは共通させましょう、ということもたくさんあります。その場合は、それぞれの被告から情報をあつめ、hypothetical negotiationのタイミングを同定し、カドが立たないように気をつけつつも(笑)、同定したタイミングに応じて異なるロヤルティ額・料率を適用して、各被告のダメージ・オピニオンを完成するようにします。

そう考えると、実はhypothetical negotiationのタイミングってとても重要なんですね。実務では「くっそー、なんで一番にウチに言いに来るねん!?他に行ってからにしてくれよ!」と思うことも多々ありますが、訴訟になってしまうと、相手のライセンスプログラムの内容によっては、hypothetical negotiationのタイミングが早い(=最初のころに催告された)ほうが、エキスパートによる合理的ロヤルティ額が少なくなる可能性も高く。。。

とりあえず、hypothetical negotiationのタイミングって、意外と大事なんだよ!ということをご理解いただき、エキスパートがそのタイミングが分かる情報を下さい、といったときにガンガン協力していただければ今回のトピックの目的は達成されたかな、と。ええい、結局自分の仕事のためかいっ!し、失礼しました。。。。
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by suziefjp | 2009-04-25 00:17 | 知的財産権 | Comments(0)

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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