米国知的財産権日記

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オンライン市場編に続き、今日は「オンラインじゃない市場」編です。いいなあ、このすごく頭の悪そうなサブタイトル。かなり好きです♪

で、オンラインじゃない市場といえば、やはり話題になっているのは公開ライブ知財オークションです。これは、米国のオーシャン・トモが年3回開催しているもので、2006年から実施されています。アンティークなんかのオークションと同じように、順番に特許が競りにかけられて、その場で落札されていきます。色々な技術の特許が取引されているようですが、大体、2件に1件の割合で落札が成立しているようです。2009年には香港でも実施するようで、いよいよ知財流通の波もアジアにやってくるか!?という感じです。売買対象は主に米国の特許のようで、米国特許所有状況を考えると、アジアでのオークションは日本でやってほしかったところですが、言葉の壁とか、こういう新しい市場の受け入れ度、とか考えると日本だとダメなんでしょうか。うーん、ちょっと残念。

こちらのオークションは知財のイベントとして2日間開催し、初日と2日目の午前中は色々な知財に関するセミナーが開催されています。2日目の午後がオークション。セミナーに参加してみるだけでも最新情報が手に入るかも知れません。私の特許もオークションで売ってみたいぜ!という方は個人、企業を問わず、問い合わせしてみては??過去、どのような特許が売りに出たか、それが売れたのか売れなかったのか、いくらで売れたのか、などのデータもすべてウェブサイトで開示されているので、これはやはり知財価値評価の面からも参考データとして有用です。(http://www.oceantomo.jp/ja/auction/default.aspx)あと、実際のオークション映像なんかもウェブサイトで見れます。おおお、ちゃんと入札があるんですな。なんか時代は変わったなあ。

正確には「市場」ではないですが、やはりカバーしておかなくてはいけないのは、知財アグリゲイターと呼ばれる人達です。有名なのはインテレクチュアル・ベンチャーズと、RPXでしょうか。インテレクチュアル・ベンチャーズはマイクロソフト出身者が多いようですが、ファイナンスバックグラウンドの人もたくさんいるようです。今年の9月30日には日本でも、日本オフィスの公式設立発表をかねて大規模なイベントを六本木でしていたようなので、日本にはこれにご参加なさった方がたくさんいらっしゃるかもしれないですね。

インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)はすでに韓国、中国、インド、シンガポールにもオフィスを展開しているようです。IVについては、正直、まだまだナゾな部分が多いです。ですから、逆に実際にここに知財を売却なさったことのある企業や大学の方、あるいは、投資家としてIVに参加しておられる企業の方とかのほうが彼らのビジネスモデルに詳しいかもしれないですね。その場合、彼らがどうやって儲けているのか、機密保持契約に触れない範囲でぜひ教えていただきたい!!自分達では特許技術を実施しないで、事業会社に対して侵害訴訟を濫発して和解金とかで儲けるビジネスモデルを「パテント・トロール」と呼びますが、このIVがたくさん特許を大学や企業から購入して、で、将来トロールとして本格活動するのか、などはまだまだナゾのままです。個人的にはもっとどういうビジネスモデルで儲かる仕組みになっているのか、ちゃんと説明して、だから安心して我々と取引してください、見たいなことを言ってくれたほうが怪しくなくていいと思うんですけど、いままでそういう説明会は実施されていないみたいです。(9月30日のイベントに出席された方の情報でも、そういう説明はなかった、ということでした。)

コレに対して、RPXのほうは、明確に「訴訟はしない」と打ち出していますね。していることはよく似ていて、ファンドをつのって、そのファンドで大学や企業、個人から特許を買っているわけですが、RPXの場合は「トロール対策としてトロールが特許を入手する前に買う」ということを明確に打ち出しています。ある意味、こっちのほうが気持ちがいい。ここの共同CEOであるジョン・アムスター氏は、RPXを設立する前は実はIVにいらっしゃったん方です。で、IVの前には、実はオーシャン・トモだったんですね。この流れを見ても、まだまだ知財流通市場プレイヤーが米国でも限られていることがもんのすごく分かりやすいですね(笑)。そこしかないんかい!?みたいな。

米国で開催されたある知財セミナーで、このアムスター氏とIVの人が同じパネルに参加してパネルディスカッションがあったんですが、アムスター氏が、IVの方に「IVがどうやって儲けているのかよく分からないんだけど」と発言したので会場では笑いが漏れました。元社員が分からんモデルって一体!?(笑)
あと、同じパネルディスカッションで、IVの方が「最近9桁のライセンス契約を2社と結んだ」っておっしゃってたんですけど、9桁って、億ドル単位ですよね??それって、何百億円ってことですよね?そんなライセンス契約が訴訟もせずにありえるのか!?ううむ、やはりよく分からんです。そりゃそんなライセンス契約がほいほいできるようなら絶対儲かると思うんですけど、でも、うーん、どうやってそんな超高額ライセンス契約ができるんだろう。ご存知の方、ぜひ教えてください!!

公開オークションに参加する、知財アグリゲイターに売る、色々なオプションが知財保有者にとっては出てきていますね。個人ならもちろん利用価値はありますし、企業でも事業撤退しちゃって特許どうしようか、というときにはこういうのを使えるでしょうし、あるいは特許棚卸しをしたときに、とりあえず、売れるものなら売って投資回収しようか、売れなければ放棄すればいいし、くらいの気持ちでこうしたサービス提供者にコンタクトしてみるのもいいでしょう。

いずれにしても、売った後、後味の悪いことにならないようにはしたいものです。日本でこうした特許流通が進まない理由の一つに、万一、自分達の特許がトロールの手に渡ってしまって、他の日本企業とかがそれで攻撃されたら。。。というレピュテーション・リスクの心配があります。気持ちは分かります。ですから、スジを通すようにするのが一番大事なんでしょう。知らない間にトロールに売っちゃった、とかだと、他の企業も「ええええっ!?」ってびっくりするかもしれないし(正直、そんな「他社が売らないだろう」という自分のコントロール外のことを想定して戦略を立てる方が悪いと思うんですけど。。。戦略は、自分のコントロールできる要素をベースに立てるべきもんです。)、「これ、売りますよー、今欲しい人は手を挙げて値段つけてくださーい」みたいなフェーズを一ついれておくと、後で文句言われても「あの時、欲しかったら買ってね、って、ちゃんと言ったじゃーん」といえますし、スジが通って後腐れないのかもしれません。まあ、気持ちの問題でしょうか。。。。
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by suziefjp | 2008-11-30 08:53 | 知的財産権 | Comments(3)
昨日、機嫌よくアップしようと思ったら、なーんと、システムメンテ中。ううむ、こういうのってタイミングが大事ですなあ。そんなことから、また、人生って運なのよねぇ。。。とワケの分からないところに思考が飛んだりして。ああ、いかん、いかん。

さて、今日は特許の流通市場を紹介します!私が昔事業会社で知財交渉をやってたときは、特許の取引といえば水面下、でしたが、最近はかなりオープンになってきましたね。

流通といっても、色々なパターンがあります。流通対象はライセンス権なのか、あるいは特許そのものの売り切りなのか、また、まずは交渉権を確保してそこから交渉するのか、あるいは、一気に取引完遂までやっちゃうものなのか。こうした情報を正しく入手して、ニーズに合わせて使い分けるのが良いですね!今日はまず、オンラインで使える市場を紹介しますね。

オンライン市場はかなり色々あるようです。日本で一番メジャーなものといえば、なんといっても特許庁の下部組織である独立行政法人「工業所有権情報研修館(INPIT)」さんの「特許流通データベース」です。ここでは、個人、大学、企業がこんな特許をライセンスあるいは売却しますよー、と掲示しておられます。キーワードサーチでお目当ての技術も検索できて、便利です。登録者情報も掲載されてますから、直接、登録者に問い合わせてもいいし、INPITに仲介をお願いする、というオプションもあります。また、特許の譲渡なのか、ライセンスなのかも登録内容に記載されていますから、これをベースに交渉すればいいですね。使用料は無料ですし、日本語だから使いやすいというのもあります。今、対象になっているのは日本特許、日本特許出願、とかのみのようですが、交渉次第で外国対応なんかも含めることができるんだろうなあ、と思います(実際やってないので確かなことはいえませんが。。。)

日本技術貿易という会社がやっているオンライン・オークションというのもあります(https://www3.ngb.co.jp/jp/)以前、こちらで1件取引が成立した、というのを聞いたことがありますが、今は新しい案件は掲載されて無いみたいです。こちらは、私が知っている限りでは「交渉権の確保」と聞きました。つまり、具体的金額を入札して、一番高かった人が「交渉権を獲得」し、そこからデューデリジェンス、実際の交渉が始まる、と。うーん、資料が見つからないんですけど、何かで、最初の案件は交渉権落札から約1年後に取引が終了した、というような記事を見た気がするんですが、間違ってたらごめんなさいっ!この日本技術貿易さんのものは特に日本特許という限定は無いようです。

海外と日本の間。。。というイメージでは、Japan Technology Groupというのがあります。ここは大学機関のもつ技術を市場に提供する仲介をメインとしておられるようです。日本の大学の技術移転がかなり話題になっている今、ここはニーズが高いエリアかもしれませんね。おもしろいなー、と思うのは、今ある技術を紹介する部分(http://www.japantechnologygroup.com/JTG%20List%20of%20technologiesJAN16.pdf)に加えて、企業側が「こういうのないの?」と、ニーズを掲示する部分がある、ということなんです(http://www.japantechnologygroup.com/techtransferb.asp)。大学側が企業ニーズを満たす発明だけをしちゃうようになるのは問題ですが、研究活動の方向性を検討する時にはこういう情報ってものすごく大学の研究者の役に立つと思うんですよ。世の中で何が求められてるんだろう?って。大学だけじゃなくて、個人発明家でもいいですよね。企業でも、自分達が使ってないもので、他の企業がこういうところでニーズがあります!というものがあるなら、ライセンスや売却しちゃうというのもアリだと思います。

海外になると、この間も紹介したパテント・ビッド・アスクというサイトがあります。ここは、独占ライセンス許諾か売却の取引場所です。日本や米国に限らず、色々な国の特許、特許出願が取引できるようになっていて、ここがおもしろいのは、売りたい人が「いくらでなら売りますよー、独占ライセンスしますよー」とオファーするだけじゃなくて、買いたい人が、そういう売りオファーが出てるものに限らず、オファーがでてない特許についても「この特許、いくらでなら買いますよー」というオファーを匿名でできるようになっていることです。私が事業会社にいたときは、会社が大きければ大きいほど、こちらから「ライセンス下さい」なんていうと、足元みられる(=大金を請求される)、ということで意地でも特許回避の方向でしたが、匿名だったら確かに足元みられないし、ダメ元でオファーしてみて、相手が無茶言うようだったら特許回避、という手段もとれます。もう一つ、このサイトの特徴は過去成立した取引額がすべて開示されていること。これは以前も紹介しました。なかなかこういうサイトはないので、ある特許の価値評価をするときの相場観データとして、この情報は貴重です!サイトの閲覧そのものは無料で、売り手、買い手がオファーを掲示するときには手数料がかかるみたいです。

最後は台湾のサイトを紹介しましょう。これはITRIという政府系の研究機関のオークションサイトです。(http://patentauction.itri.org.tw/tipa/about.aspx)ITRIはもともと、政府の技術研究機関で、自分達の研究成果を企業に出すために始めたのがこのオークションのようです。だから入札できるのが台湾企業に限定されてたんですね。オークション事業が拡張して、売り手としては米国企業なんかも参加できるようになったみたいです。最後に調べたときは、買手はやはり台湾企業に限定されていましたが、今もそうなのかな?ごめんなさい、ちょっと良く分からないので、もし、ご存知の方がいらしたら教えてください。。。こちらも交渉権の確保のようで、実際の取引はオークションで一番高値をつけて落札した方が交渉して、という形のようです。ただ、取引成立までは数ヶ月、と、日本技術貿易のものよりかなり短いみたいです。何が違うのかなー???

オンライン市場だけでも、結構出てきましたね。しかも私が少し書けるくらい知ってるだけでこれくらいありますもん、世の中にはきっともっとたくさんのオンライン特許流通市場があるんだと思います。これは個人発明家の方や中小企業の方にとってはうれしいことで、もし自分で使ってない技術とかがあればこういうところでどんどん取引できます!大企業もしかり。これだけ景気が悪くなってくると、あらためて無体資産の価値や金銭化が本格化するのでは?と私は期待しているんですが。

この後は、オンラインじゃない市場や、特許アグリゲイター(知財買取業者)みたいなのを紹介しますね!こういうのは断然、アメリカが進んでておもしろいですよー!!
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by suziefjp | 2008-11-27 06:24 | 知的財産権 | Comments(3)

まぼろしの2ドル札

日本でもノリで発行されてしまったっぽい2000円札がありましたよね。たまにおつりとかで回ってくると「使いづらいな、ちっ!」と思ってしまったりするやつです(笑)。

b0149998_982554.jpgウチの会社が入っているビルの1階にスターバックスがあります。ここにコーヒーを買いに行ったら、なーんと!レジのところにおいてあるチップ箱に2ドル札が!!2ドル札ってまさに日本の2000円札と同じようにレアもの。思わず、スタバで「1ドル2枚と交換していい??」と聞いて快くOKをもらい、ゲットしてきてしまいました。ちょっとうれしい。。。

b0149998_9104357.jpgあと、うちのヒトがお札で指輪を作るんですな。ま、折り紙ですけど、1枚のお札から作ります。彼いわく、日本のお札の紙ではうまくできないけど米ドルの紙だといいらしいっす。ポイントはうまく数字の部分が表に出るようにすること。こういう指輪を10本の指にはめて、「あ~ら、おいくら。はいはい、Xドルね。」なんて指輪から払うのもありか。(いや、ないけど。)

うちのヒトは「これを1ドル札できれいにつくって、日本で1000円で売れないかなー?」
・・・はい、売れないと思います。まじめに働きましょう。
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by suziefjp | 2008-11-23 07:52 | アメリカ生活 | Comments(0)
今日のタイトルはなんだか真面目。これ、実はとてもよく聞かれます。最近、オンラインの知財オークション、ライブの知財オークション、あと、知財信託なんかもよくニュースでみかけるようになりました。かつて、知財の取引というのは水面下で行われて結果も機密保持でがっちり外にでないように、というのが主流でしたが、今はある知財がいくらで取引された、とか、ある知財の侵害で損害賠償金がいくらだった、とかの情報が昔よりもかなり入手できるようになりました。

そこで質問「こうした情報が出てくると、知財の価格は上がっていくのか?」

これ、結構そういう風に思われるかもしれないですが、答えは「否」だと思います。今まで、知財の取引が水面下で行われていたために、相場観とかが分からなかったわけで、ある意味、ライセンスする側、売る側だって吹っかけ放題、買う側だって叩き放題、さあ、どのあたりに落ち着くのか、というのが本当のところだったと思います。

これが相場観がわかるようになると、お互い無茶を言えなくなってきます。もちろん、技術の一つ一つ、特許の一つ一つは違いますから、あくまでも相場観です。知財の価値評価アプローチにはいくつかの種類がありますが、「マーケットアプローチ」という市場での類似技術の市場価値を参照する、というアプローチがいまひとつ機能しなかったのは、類似技術の相場情報がほとんど無かったからです。こうした情報が入手できるようになれば、このアプローチも、もっと実効性が出てくるようになると思います。

一見、知財の価格が上がったように見えるのは、それだけ「こういう知財が取引されました」という情報に露出されることが増えたので、そのように感覚的として価格が上がったように思う、ということではないでしょうか。以前はそういう話が表に出ることは稀でしたものね。

相場観の一つとして、こういうサイトもあります:
http://www.otpba.com/transact_complete.asp

ここでは過去成立した特許売買の情報が提供されています。こういうのを見ながら、うーん、じゃあ、私の技術だといくらくらいかしらん?と、考えてみるのは悪くないアプローチだと思います。

これと同じような疑問で、「知財流通が進めばイノベーションは進むか?」というトピックがあります。これは「進む」という人もいますが、私は反対です。私はそれは殆ど「風が吹けば桶屋がもうかる」レベルの乱暴な主張だと思っています。

正確には、正しい知財流通が進むと、市場でニーズのある技術等が分かってきます。逆に、いくらユニークでも市場でニーズのない技術はやはり流通の対象にはなりません。ですから、知財流通が進むと、どういう技術が市場でニーズがあるのか、が、明らかになり、そのエリアの研究開発が進む、ということ、さらに、そのエリアでも玉石混交だから、何が「玉」で何が「石」か、が明確になってくる、ということだと思います。これを「イノベーションが進む」というのは言いすぎかつ、かなり事実をはしょったコメントといわざるを得ません。

大事なことは何が「玉」で何が「石」かを見極める力ですね。流通が進んできたから、といって、「石」に投資しても仕方が無いわけで。こういうときにお金持ってる人たちが石だろうか玉だろうが、ばこーん!と、まとめ買いしちゃうようなことが多発すると、このあたりがブレちゃいますね。「石」を持ってた人にすれば「ほら、やっぱり私の技術は価値があったのに、誰もわかってくれなかっただけなんだ!」なーんて。

一つだけ申し上げておかなきゃいけないのは、流通されないケースには2つのパターンがある、ということです。一つは市場でニーズがない。もう一つは、虎の子だから絶対外に出さない。この2つです。ある技術を見据えたときにどちらのパターンなのか、これが正しく判断できるのが知財担当者の腕の見せ所でしょう!!Go, go, 知財担当者!!

まあ、100%完璧なアプローチってないわけですけど、ようやく始まりだした日本での知財流通、健全に進んでくれるよう祈ってやみません。。。

今後、実際にどんな流通市場があるのか、を具体的に紹介していきたいと思います!
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by suziefjp | 2008-11-22 05:48 | 知的財産権 | Comments(0)
うちのヒトが最近、ジャズ・ギターのレッスンを真剣に始めました。若かりし頃、結構真剣にギターをやってましたが、なぜか思い立って今回はジャズギターです。

で、アメリカン航空の元機長さんで現在リタイアして悠々自適の生活をしているお友達(私達は「キャプテン」と呼んでいます)に、「おれは来年はギターで立つ!ミュージシャンになるぜ!」という話をしたところ、キャプテンが、おもむろに「あのねー、ミュージシャンと大きなピザの違いってなんだかわかるー?」。。。。。なんだろう。

「大きいピザは家族を食わせることが出来る。(The big pizza can feed the family)」。。。おー!!座布団1枚!!!

。。。お後がよろしいようで。
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by suziefjp | 2008-11-19 03:58 | アメリカ生活 | Comments(0)

日本は人材不足か

知財サービスについておもしろい記事を読みました:

国際特許販売 契約実務で人材難
2008/11/17
http://www.business-i.jp/news/for-page/chizai/200811170003o.nwc

なーるほど。ちょうど今朝、フィナンシャル・タイムズで、これだけ景気が悪いために技術系の企業が使ってない技術の売却とかライセンスで利益を上げようとしている、という記事を読んだところだったので、なんだかタイミングよし。

http://www.ft.com/cms/s/0/28a57840-b512-11dd-b780-0000779fd18c.html

契約実務って、大手の企業さんとかでは雛形つくりとかしてらっしゃると思うんですけど、問題は、雛形からどこまで離れていいのか、雛形にない文言の必要性は誰が判断してくれるのか、誰がドラフトしてくれるのか、ってところでしょうか。このあたりに臨機応変に対応できないと「だから法務って使えないんだよな」と事業サイドから言われるわけですね。(ちなみに私は法務からいったん経営コンサルタントに転職しましたが、理由は事業サイドの方から「だって法務ってビジネスわからへんやん」と、ものすごーく素直な指摘をいただいたから。そら分からんヤツに相談したくないわな、分かるようになったら相談してくれるかしらん?と、思って勢いで経営コンサルタントに転職してしまった。。。。)

契約実務の問題もありますが、そこに至る「交渉」となると、日本人にとってなかなかハードルが高い部分ってありますね。文化的にあまり率直に交渉をする、という背景がなくて「言わずもがな」なカルチャーで育ち、かつ、小さいときから自己主張、ディベートをやってる欧米人相手に英語でやらなきゃいかん、となるとダブルパンチ。コストさえ許すなら、プロの交渉上手の弁護士さんや特許流通業者を使うのが最初は安全かもしれません。何度かそういう人達と一緒に出席している間にノウハウも盗めるでしょうし。そういう場所で正しいトレーニングさえ受けられれば、時間はかかってもある程度まではできるようになるんじゃないかなー、と思うんです。

不幸なのは正しいトレーニングが無い場合。特に知財の契約交渉とかって、この道ウン十年みたいな部長さんとかが、特に理屈や論理的説明は無いけど「交渉はこうやるもんや!」的なノリでやっちゃう、部下もなんとなく「うーん、よく分からんが、ああ、やるのか」と、それを引き継いじゃう、とかのパターンも多いみたいです。こういう場合、確かに「なんだかわかんないけどすごい!」という人もいますけど、大多数は交渉の相手方であるアメリカ人とか、別室で「彼が何を言ってるのか全然分からなかった」と、後で爆笑していることが結構あります。(日本人同士なら、あの英語とか理論がわかるの?って私に振るのやめてよ。。。あたしじゃないやんっ!)

ところが、当のご本人は「これが俺の寝技交渉だ。これで過去もずっと条件を勝ち取ってきた。」とか、部下に言っちゃったりする。寝技、って。。。相手方が陰でどんだけ笑ってるかマジックミラーで見せてやりたい!!しかも勝ち取る条件も、結構相手方が事前に仕掛けたトラップというか、「ここは最初から捨てるために入れておく」系条件のところだったりすることも多々あります。こういうのを見てると、いいコーチングがないと当然人もちゃんと育たないので、やっぱり人材不足は解消されないだろうなー、と、思ってしまいます。

アメリカ人の目から見ると、「彼(彼女)の英語は良くわかんない」という英語の問題よりも、実際の発言と実は意味が違う、というほうが混乱するようです。何度も日本人と交渉したことのある人は「日本人が「It is very difficult」って言ったら「We cannot do it」っていう意味なんだよ。」とか、「日本人が答えずにかみ合わせた歯と歯の間から息を「しー」って吸い込む仕草は「not acceptable」っていう意味なんだよ」とか言ってます。私なんて、言われて初めて、「よく見てるなあ」と感心することのほうが多いかも。

この間、シカゴで「日本に投資しましょう」みたいなイベントがあったので行ってみました。冒頭、日本からいらした方かな?が、データを示しながら「外資系企業にとって、日本はこんなに仕事がしやすい場所になりました!」と、プレゼンしてくれました。数年前に比べてディスクロージャーが良くなった、とか、日本参入に当たって障壁となっていたものがどれだけ改善したと外資系企業が思っているか、というデータです。プレゼンでは触れられなかったんですが、中に「ローカル(日本)で雇いたいと思う人がいない」という障壁があったんですよ。これ、数年前は「YES」と答えた外資が40何パーセントあったようですが、現在!なんと、60%を超えている!だめぢゃんっ!!これ、だめぢゃんっ!

本当に日本は人材不足なんでしょうかね?可能性としては3つあります。「正しいコーチングがないため、人が育たない」ということもありますし、「正しいコーチングをしても部下がついてこれない」という上司にとって不幸なケースもありますし、そして、「上司が才能ある部下をつぶしちゃう」という部下にとって不幸なパターンもあります。組織や地域によってどのパターンなのか、差はあるかと思いますが、一度ゆっくり、本当に人材が育っているのか、育ってないならその主な理由は何か、検討してみることも必要かもしれないですね。がんばれ、ニッポン!!
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by suziefjp | 2008-11-19 02:51 | 知財経営 | Comments(0)
はい、サボリ魔です。ほぼ2ヶ月ぶりの更新です。すいません。。。。ちょっと言い訳をすると、9月末から長期出張がありまして、で、帰ってきてからは会社のビッグイベントの準備、実施、フォローアップでバタバタしまして。。。。ホリデーシーズンに向かってようやくスローダウンという感じでしょうか。ここまで更新がなくても、また覗いてやっていただけるとうれしいです。えーと、あの、たまに覗いていただいて、で、更新してたら「おっ、珍しい!今日は大吉かな。」と、おみくじのように使っていただければ、あの。。。。

さて、ほんとに反省、あらためてちゃんと書くぞ!今日はこちらをご紹介;

Intellectual Property Contingency Consortium

これ、正直なところ、いつから宣伝メールが来るようになったかわかんないんですよねー。アメリカ弁護士協会の名簿かなあ??成功報酬でお仕事を受ける弁護士、弁護士事務所、特許権行使会社のコンソーシアムですね。こういうのが公式にあるところがアメリカ。「Submit Your Case」とかのタブがあるので、ここで「私のこの特許で訴訟したい~~」と、申し込むと審査してくれるんだろうなあ、と思います。

日本の企業の知財部門でお仕事なさってる方は「成功報酬型弁護士」は良くご存知かと思います。つまり、損害賠償金や和解金を見事獲得できたときのみ、そこから弁護士費用の支払いが発生する、お金、を獲得できなければ弁護士費用の支払いは不要、という条件でお仕事を受ける弁護士さんや事務所ですね。

私も日本企業の法務部門で知財訴訟のお仕事をしていたころ、この成功報酬弁護士がいなくなれば、こんなに訴訟は濫発されないんじゃないの!?と思っていたものです。だってすごい次から次へと特許侵害訴訟で訴えて来るんだもん。。。ほとんど嫌がらせかと思うくらい訴えてくる。なんだか、原告である個人発明家とかも「お金取れなくても弁護士費用はかからないし、ダメ元でいっとくかー!」と、ノリで訴訟しているような感じすらしたのは被害者意識のせい!?本当にしっかり分析して侵害の疑いあり、なら訴訟も仕方がないですけど、成功報酬だし、いっかー、と、ダメ元で訴えられたらたまったもんじゃないです。

成功報酬型は必要なものだとは思います。個人発明家の方や中小企業がせっかく成した発明が勝手に使われちゃって、弁護士費用がないから泣き寝入りするしかない、というのは間違ってますよね。だから意味があるんですけど、これが間違った使われ方をするととんでもないことになります。まさに「ダメ元いっとけ」訴訟の原因になります。

結局、リーガルサービスに限らず、世の中が便利になって、でも、その多くは使い手の気持ち一つでいくらでも悪用できちゃうんだろうなあ、と思うとなんだか切ないですね。メールなんかもそうですもんね。もう最近、スパムメールの多さに辟易。タイトルもかなりえげつないし、こんなことして何がうれしいんだろう。。。と思ってしまいます。リアクションする人もきっといるから、ダメ元でまず送っちゃえー!ですけど、タイトル見るだけで不愉快になる人の気持ちも汲んでほしいものです。

と、ちょっとそれましたけど、この成功報酬って当たれば大きいですけど、外れるとロスも大きいです。以前、担当したある訴訟で公判前の技術打ち合わせに行ったんです。法廷で使うプロジェクタとか、ビデオとかの打ち合わせですね。相手方からはパラリーガルの人が来てたんですけど、その人が相手方(もちろん成功報酬)のメインの弁護士の奥さんみたいで、「知ってんのよ、あんたたちがうちのダンナをヘンなヤツだと思ってることなんて。」って言い出したんですよ。さらに驚いたことに「あたしだってそう思ってんのよ。お金がなかったら、あの人となんて一緒にいないわ。」。。。。えーと、この議論、どこにもっていけばいいんだろう。。。。そして「この裁判に負けたら、きっとあたし、別れるわ。」。。。。えと、あの、ビデオは。。。プロジェクタは。。。。

彼女はいつもブランドバッグを持って傍聴席で傍聴しておりました。この訴訟、我々側が全面勝利をおさめたわけですが、それから半年後、彼女がマジで離婚していたことを確認するのは難しくありませんでした。。。こわすぎっ!愛は、愛は!?

成功報酬も山あり、谷あり、ですな。昨今の景気の悪さから色々な米国の法律事務所ががんがんアソシエイトとかサポートスタッフを日々解雇しておりますが、この成功報酬ビジネスモデルがこの中でどうなっていくのか、今後を見守りましょう。
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by suziefjp | 2008-11-19 02:25 | 知的財産権 | Comments(0)

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


by suziefjp