米国知的財産権日記

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「知財経営」って?

日本で「知財経営」という言葉が出てくるようになって久しいですが、どうも言葉が先走っているような感じがする。。。時があります。「知財経営」って何?というところが吹っ飛んだ議論になっているような気がするんですよ。

皆さんが知財を注視してくださるようになるのはうれしいのですが、何が知財でできれば経営上成功なの?という成功の定義が明確ではないケースが多いようです。知財にかかるコストが削減できればいいのか、知財による直接収益が増えればいいのか、あるいは知財の活用により事業としての収益があがれば(例:製品売上が上がる)いいのか。こうして見てみただけでも、かなり性質が違う「成功」があり得るわけです。会社組織のリソースは限られてますから、これらを一気にやれ!というのはちょっと無理があるように思います。こうした色々な成功の定義があり得る中で、自分達はどれに優先的に取り組むのか、その活動が定量的にどのレベルに達すれば成功なのか、ということが明確にされないまま、知財経営、という言葉だけが広まってしまったように思うんです。

現場の方とお話していると、トップが「知財経営、知財経営」と言ってくれるものの、じゃあ、何をするんだ、というと、「それは現場で考えなきゃ。」という回答をする経営層も本当にいらっしゃるようです。それって、一体・・・?何ができたら成功なのか、せめてその定義をするのは経営層のお仕事じゃないかなあ、と思います。いわゆる「方向性を打ち出す」部分ですね。方向性を打ち出す、というのは、経営の重要な役割の一つである「優先順位付け」に他ならないのですが、この優先順位付けまでも現場に振ってしまう経営層の方もいらっしゃるみたいです。結構現場の人はちゃんとみてますからね、これができない経営層って、現場から「けっ!」と思われてるんじゃないかなー、と思います。

そもそも、日本って経営スキルを軽視しすぎじゃないか、と、外から見ていると不安になるときがあります。長年やってれば、みんな管理職になっていく、それに必要なスキルがつく、と、ちょっと楽観視しすぎのような。結果、いつまでたっても自分でやらなきゃ気がすまない、管理職になりきれない人が、「プレイング・マネージャー」と好意的に呼ばれたり。マネージしてるならいいですけど、プレイング・マネージャーと言われる人は、「マネージャー」の部分ができてないケースが多いようです。「結局俺がやらなきゃダメなんだよな」と、おっしゃるマネージャーの方、気持ちは分かりますが、それはマネージャーとしての役割を放棄しているかもしれません。

知財経営が日本でうまくいかない、どうすればいいか、そういうご相談を受けることもあります。これはもちろん、知財をどう活用するか、という問題もありますが、実はそれ以前の問題で、経営力の無さが原因かもしれません。知財の部分だけやろうとしても、根っこの経営スキルがなければ、本当の知財経営にはほど遠いものとなってしまうかもしれません。

「知財経営」を考えてみるときに、必要なスキルは「知財に関するスキル」と、「経営に関するスキル」の両方です。あらためて、まず、「経営に関するスキル」は揃ってるんだろうか?そこから見直す必要があるのかもしれんなー、と思うことが結構あるんです。「知財経営」のカテゴリーではこのあたりについての情報提供もしていきたいなあ、と思っています。
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by suziefjp | 2008-06-28 19:43 | 知財経営 | Comments(1)
日本で「知財経営」という言葉の露出が増えると同時に増えたお問い合わせが「知財の価値評価」です。知財の価値評価には、大きく2種類あります。一つは経済的価値評価、もう一つは技術的価値評価です。それぞれ、評価を行うために必要なスキルセットもかなり異なります。経済的価値評価はファイナンシャルモデルが組めるくらいの財務知識が必要ですし、技術的価値評価にはもちろん技術的知識が必要です。

今回は経済的価値評価のお話をしたいと思います。と、いうのも、これまであまり知財の経済的価値を気にしなかったトップマネジメントが「あのさー、うちもいざというときのために、うちが持ってる知財の価値をざっくり計算しておいてよ」というお題を知財部門の方に丸投げし、困った知財部門の方が「あのー、いざというときのために価値算出を。。。」とお問い合わせくださることが増えたからです。

まず、いざというときのための知財評価なんてもんは存在しません!! これ、本当にこういうお題を投げられる知財部門の方が気の毒です。。。そもそも、こういう価値評価って最初に目的がないとダメなんですよ。M&Aの際に、知財取得分として支払う予定の金額の正当性をみる、とか、何のために知財の価値を知る必要があるか、で、算出アプローチも変わります。「いざというときのために知財の価値をざざっと見といてよ」という段階で、経営者、知財経営からとても遠いところにいる、と、言わざるを得ません。ああ、知財担当者が不幸。

マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチ、など色々な知財評価アプローチについて日本でもたくさん本が出てますが、結局のところ、知財の経済評価は企業価値評価と同じで、将来の精査に耐えうること、誰にも「これは間違いだ」と言われないことが重要です。すると、どのアプローチだったら本件では精査に耐えられるのか、が、揃っている資料によってかなり左右されてしまいます。いくら「このアプローチがいいな♪」と思っても、それをするための正しいデータがなければ別のアプローチでやるしかないんです。

私達は経済的価値評価のお問い合わせをいただくと、まず基本情報として以下をおうかがいします:
・何のために価値評価するのか?
・いつまでに評価結果が必要なのか?
・こういう資料が必要だが、それはあるのか?

これらを元に、どのアプローチが可能か、を判断します。ですから、経営者や他部門から知財の経済的価値評価の依頼を受けた知財部門の方も同じように聞いてみるといいのでは?と思います。なんのために、いつまでに評価が必要なのか、そのために必要なデータはそろってるのか?これに回答できないレベルで依頼をしてきた経営者や関係部門には「おとといおいで」と、言っちゃいましょう♪

ところで、マーケットアプローチは、評価対象知財と同様の知財が巷でどれくらいで取引、ライセンスされてるのよ?ってのを見るわけですが、アメリカではRoyalty Sourceなどの便利なウェブサイトがあります。これで、よく似たタイプの知財ライセンスにおけるロヤルティ(使用料率)なんかが調べられます。これ、結構日本の方に申し上げると「そんなサイトがあるんですか!」と驚かれます。(私の功績じゃないけど。。。)ふっふっふっ、あるところにはあるんですよ、ツールが!

知財評価は大きなトピックですし、本当に知財経営の基本にもなるところですから、少しずつ、情報を追加していきたいと思っています!
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by suziefjp | 2008-06-24 06:31 | 知財経営 | Comments(1)
知財のお仕事、と言ってもやっぱりお問い合わせが多いのは圧倒的に特許なんですね。最近はようやく「自前主義」もなくなってきて、特許の売買が活発になってきたようです。

みなさん「Due Diligence」というのを聞かれたことがあるかと思います。これは買う前に「これって買っちゃってだいじょうぶ?」ということを調べる手続きをいいます。例えば、家を買う時に前はどんな人が住んでたの?とか、駅からどのくらい?ご近所は?学校は?とか色々調べますよね。それと同じように、この特許ってどういう技術なの?請求項の中身はどんな感じ?誰が持ってるの?あとどのくらい有効期間は残ってるの?誰かにライセンス許諾されてるの?そういうのを調べる手続きをDue Diligenceと呼んでいます。

いろいろ調べる中で、びっくりしちゃうのが「誰が持ってるの?」なんですね。自分の特許のはずなのに、ぜんっぜん知らない人が共同名義人になってる!!なーんて、あり得ないことですが、あるんですなー、これが。日本人的には信じられなーい!ですが、ほんとにあります。

アメリカの場合、特許の出願はかならず発明者である個人の名前でなされなくてはいけません。法人は出願人になれません。ですから、発明者である従業員の名前で出願し、後で雇用主である企業に移転する手続きをとります。こうして移転すると米国特許庁のウェブサイトでその記録をチェックできます。

このウェブサイトで自社の特許の移転記録を調べると「だ、誰やねん、こいつ!!」というのが突如、移転先になってたり、移転元になってたりするときがあるんですな。これはマジです。

なんでこういうことが起きるのか!?・・・・・どうも米国特許庁さんが間違っちゃうケースがあるみたいです。よく分かりませんから米国特許庁の名誉のために「間違うんですよ!」とは絶対いえませんが、まあ、あるみたい・・・です。特許の売買では、必ず我々は「Chain of Title」をチェックします。これは売り手まで、キレイに権利移転がつながっていることを調べるものです。ここでナゾの人物Xが突如そのつながりに登場すると、あら、びっくり!ということになるわけです。これが記録上キレイに修正されない限り、特許の売買が成立する可能性は非常に低くなります。

ウソのようなホントの話ですが、マジであります!!一度、みなさん(あるいは皆さんの企業)がお持ちの米国特許、Chain of Titleがきれいかな?と、調べてみると、とんでもない間違い登録が発覚するかもしれませんよ!?それは今のうちに出願代理人などを経由してキレイにしておかれるといいと思います。
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by suziefjp | 2008-06-23 06:48 | 知的財産権 | Comments(0)

初ブログ

ども、初めまして!
アメリカで知的財産権の評価・活用・流通のお仕事をしている頑固な日本人です。自然資源の少ない日本が「やっぱ日本ってすげーよな!」と世界から評価される一つのネタとなり得る知的財産権。日々のお仕事の中で「もっとこうしたらいいんじゃないかな。」「こういうことって日本で知られてるのかな」そう思うことがたくさんあります。「こうしろ!」じゃなくて、「あー、こういう風に思ってるヤツがアメリカにいるんだ、ふーん。」それくらいのノリで、情報提供ができたらいいなあ、と思っています。

ご質問も大歓迎です。「アメリカで今どうなってんの?」そんなご質問も分かる範囲でお答えするよう頑張ります!細く長く、続けられたらいいなあ。。。

b0149998_6113995.jpgとりあえず、最初に写真がないのもなんだか寂しいので、私の住んでるシカゴの風景をどうぞ♪冬はとんでもなく寒いですが、ここのところはとても素敵な夏空です。

どうぞこれからよろしくお願いします!
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by suziefjp | 2008-06-23 06:12 | Comments(0)

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


by suziefjp