米国知的財産権日記

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カテゴリ:知的財産権( 89 )

最高裁判所がガンガン判決を出してくるんで、こちらも追いつくのが大変です。。。

やはり2016年12月に「日本企業への特許侵害裁判訴状送達が郵便でオッケーになるかも?」で紹介しましたWater Splash, Inc. v. Menon (No. 16-254)事件も2017年5月22日に判決が出ました。が!日本企業への訴状送達が郵便でオッケーなのかどうか、イマイチ分からぬ、、、というのが本音でして。。。

問題の最高裁判所判決はこちら。これも最高裁版所ウェブサイトが掲載してくれている間にご覧下さいね。最高裁判所はこう決定しています:in cases governed by the Hague Service Convention, service by mail is permissible if two conditions are met: first, the receiving state has not objected to service by mail; and second, service by mail is authorized under otherwise-applicable law. つまり、送達先国がハーグ条約批准国の場合、①ハーグ条約における郵送での送達を当該国が拒否しておらず、②その他適用される法律で郵送が可とされている、という2つの条件が満たされる場合は郵送による訴状送達が可能、とな。①は以前申し上げたとおり、日本は拒否していないのでクリア、として、問題は②です。②の条件について最高裁判所が「ほら、ここにそうあるでしょ?」という意味で引用した判例が「Brockmeyer v. May, 383 F.3d 798 (9th Cir. 2004)」という事件なんですが、この事件では①ハーグ条約は郵送を認めている、②しかしその郵送方法についてまでハーグ条約は明示していないため、郵送方法を定めた米国連邦民事訴訟規則を見たところ、今回の郵送は米国連邦民事訴訟規則の要件を満たさないため、アウト!として、在英国の被告への郵送送達を無効としています。

この事件にある「米国連邦民事訴訟規則」ですが、4(f)条に外国への送達に関して具体的に定めた条文があります。4(f)条いわく「外国への送達に関する条約が無い場合、あるいは条約があり当該条約で許されている送達ではあるがその条約に送達方法が明示されていない場合、は、送達先国の法律で禁じられていない限り、(i) 手渡し、または(ii)担当判事書記官による、受領確認を要請するいかなる郵送方法、の、いずれかでの送達が可能」としています。Brockmeyer事件では、担当判事書記官が英国の被告に郵送したのではなく、原告が被告に直接郵送したため、それは「その他適用される法律」である「米国連邦民事訴訟規則」の要件を満たさないために無効だよ、となったわけです。

これをふまえて日本ではどーなるの?と考えると、日本の法律が外国裁判における在日本当事者への郵送送達を禁止しているのか?が、まず最初のポイントになります。私は日本の法律にあまり詳しくないので、何か日本法の中に外国裁判における在日本当事者への郵送送達を禁止する法律や条文があるのか分からない。。。もしご存知の方いらしたらぜひ教えてください!で、仮に外国裁判における在日本当事者への郵送送達を禁止する法律や条文がない、とすると、そのことを持って「(A)郵送送達を禁止していないと解釈すべき」なのか、「(B)日本国内の送達に関する規定を外国裁判にも自動的に適用すると解釈すべき」なのかが分からない。。。仮に(A)だとすると、Brockmeyer事件を参照して、米国連邦民事訴訟規則4(f)条の要件を満たす送達であれば可、すなわち、「米国の担当判事書記官による受領確認を要請した郵送方法」であれば送達有効、となります。で、「(B)日本国内の送達に関する規定を外国裁判にも適用すると解釈すべき」だとすると、12月の記事でも申し上げたように、日本国内の裁判では職権送達主義(=国内訴訟の訴状送達は裁判所によりなされなくてはならない)が取られています。これを「日本国内の裁判所書記官により送達されなくてはならない」と厳格に解釈すべきなのか、あるいは、「外国の裁判所書記官に送達されれば可」と解釈すべきなのか、が、今度は分からない。。。

とりあえずの対策としては、「米国裁判の担当判事書記官による受領確認を要請した郵送方法」以外で郵送送達された場合は、「(日本の法律が郵送送達を禁止していないとしても)米国連邦民事訴訟規則4(f)条の要件を満たさない送達なので無効」と主張して良いと思います。問題は、「米国裁判の担当判事書記官による受領確認を要請した郵送方法」で郵送送達された時に、「日本の法律では郵送送達そのものを禁止している」、あるいは「日本国内の裁判所書記官による送達でなくてはならない」と主張して、送達の無効を争うことが出来るか、が、謎なことなんですよ。これ、誰か日本の弁護士さんでお分かりの方がいらしたら本当に教えて欲しいです!!

なんだかすっきりしないオチになってしまって申し訳ない。繰り返しですが、とりあえず、「米国裁判の担当判事書記官による受領確認を要請した郵送方法」以外で郵送送達された場合は送達無効を主張できるであろう、というのが現段階での結論かと。これを「結論」とか呼んだら「結論」が怒ってくるよなー、と、自分でも思うレベルの報告ですいません!



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by suziefjp | 2017-05-26 03:29 | 知的財産権 | Comments(0)
さて、2016年12月に「テキサス東部地裁よ、さらば!...になるかもしれない」編で紹介させていただいた米国最高裁判所事件、判決が出ましたですよ!この裁判の背景は前述の「なるかもしれない」記事でご覧下さい。

で、肝心の最高裁判所決定はこちら でご覧いただけます。最高裁判所のウェブサイトがこの意見書を掲載している間にご覧下さい♪結論から言うと「被疑侵害品が販売されている場所ならどこでも被疑侵害者を提訴できる、ってのはダメっしょ。」ということになりましたーーー!ひゅーひゅー!!「これからどないすんねーん!」と思っている特許トロールの皆さん、残念でしたな。あっはっはーーーー!!

少しおさらいですが、この事件で問題になっていたのは米国民事訴訟法1400(b)条にある「Any civil action for patent infringement may be brought in the judicial district where the defendant resides, or where the defendant has committed acts of infringement and has a regular and established place of business」の「resides」をいかに解釈すべきか、という問題でした。この条文によると、特許侵害裁判は①被告が居住する(resides) 場所、または②被告が特許侵害行為を行い、かつ、通常の確立した事業場所を所有する場所、のいずれかで提訴されなくてはなりません。これまでは①にある「resides」が非常に広範に解釈され、「被疑侵害品が販売される場所ならオッケー」みたいになっていたわけです。で、今回、最高裁判所が「ちょいちょいちょい、それは無いわ。「resides」、居住する、とは被告の設立登記地のことよ」と明示しました。よって今後の裁判は、被疑侵害者の設立登記地、もしくは②の「被告が特許侵害行為を行い、かつ、通常の確立した事業場所を所有する場所」でのみ可能、ということになります。テキサス東部管轄地区にお店や事業所を持ち、そこで被疑侵害品を販売しちゃう方は②に該当するので「なんだよ、じゃあ結局テキサス東部から逃げられないじゃん」というのはあります。でも、これまで、テキサス東部管轄地区にお店も会社も営業所もない、つまり、なーんの縁もゆかりもないのに、なんでここで訴えらねばならぬのだ!?だった被疑侵害者にとっては、やはりこの最高裁判決は大きい!

被疑侵害者の会社や事務所が所在するホームグラウンドでの裁判を特許権者が回避しようとするならば、今後の特許侵害裁判は被疑侵害者の設立登記地(設立登記地として人気のデラウェア州など?)で多発するかもしれません。デラウェア州には連邦地方裁判所が一つ(北部、とか東部、とかは無いです)なんで、デラウェアに訴訟が多く持ち込まれるようになると判事が忙しすぎて訴訟進行が遅れるようになるかもしれませんね。この最高裁判決が出たのが5月22日の月曜なんですけど、それ以降の新たな特許侵害訴訟を見てると、見事にテキサス東部地裁以外で訴えられてます。ぱっと見た感じですが、やっぱりデラウェアが多い感じですかねー。

ここでちょっと考えてしまうのは、もし日本企業さんが被疑侵害者で、特許権者がその日本企業さんの在米子会社を被告に入れずに日本企業さんだけを訴えようとした場合はどうなるの?という点です。(在米子会社を共同被告に入れる限り、その在米子会社の設立登記地、もしくはその在米子会社が「通常の確立した事業場所を所有する場所」にひっぱられると思います。)もしアメリカで設立登記もしてないし、事業所とか支社とかもなーんにもない日本企業を訴えようとしたら、特許法上の侵害行為がどこで発生したのか、を見ることになるのかなー、と思います。米国特許法271条で直接侵害行為として定義されているのは「makes, uses, offers to sell, or sells」もしくは「 imports」なので、日本企業によるこうした行為がどこで発生したか、を同定し、その場所が管轄地になるのかと思います。ぶっ飛び特許権者が「被疑侵害品のユーザーが被疑侵害品を使って侵害行為を行った場所であればどこで提訴しても良い」と、間接侵害にもとづいて自分に有利な裁判地で提訴する、っていうこともあるかもしれません。特許侵害訴訟の訴因って、(A)直接侵害のみ、(B)直接侵害+間接侵害、(C)間接侵害のみ、の3つが論理的に考えられますが、これまでも「(C)間接侵害のみ」で来るケースは珍しいんですよ。理由はおそらく侵害立証が難しい(=客がどう使うか、による)、損害賠償算定が難しい(侵害になるよう使用された被疑侵害品のみが損害賠償対象なので、その被疑侵害品数の同定が必要)というためかと思います。だとすると、やはり特許権者、特にさっさと和解金を稼ぐことを目的とするような特許トロールは、(A)もしくは(B)で攻めたいところで、提訴地の自由を優先して(C)のみで来る、というのはそれこそ初期の取下申立とかで対抗されそうでなんで、避けるんじゃないかなあ、という気はします。

ま、これまでのテキサス東部への集中が異常でしたからね。今回の最高裁判決でテキサス東部地裁での提訴が難しくなるため、しょーもない訴訟が減るのでは、という意見も出てきているくらいです。とりあえずは「良いニュース」ということでよかったのではないでしょうか♪

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by suziefjp | 2017-05-26 01:08 | 知的財産権 | Comments(0)
去年の5月に「最高裁:特許侵害に対するLaches防御やいかに!?」で最高裁が特許侵害に対する防御の一つであるLachesについて検討中、という報告をしました。問題の詳細は5月の記事をご覧いただくのが良いんですが、結論からいきますと、最高裁が「Lachesは無しよーん。」と2017年3月21日に決定してしまいました。。。がーーーん!決定の意見書はこちらからどうぞ(リンクが無くなる前にごらんくださいね。)

ずーっと特許をやってると、やっぱりたまにあるんですよ。最高裁、それ、なんか違うくね?みたいな決定が出る時って。今回の判決もまさにそんな感じです。現在、最高裁の判事は8名ですが、7対1で「Laches無しよん」と決定されました。よって特許権者がものすごく出遅れて訴訟してきても、そこから6年遡った損害賠償回収は許されることになります。もし「Lachesは今後もありよん」と今回決定されていれば、ものすごく出遅れてきた訴訟に対してそこから遡っての損害賠償の回収は不可、とすることが可能であったものです。

この業界におられる方には、ぜひただ一人反対したBreyer判事の反対意見書(dissent。多数派の意見書の後に続いて掲載されています)を読んで頂きたい!ここに言いたかったこと、分かってほしかったことが凝縮されているんです!なんでBreyer判事はこんなに明快に分かってくれたのに、多数派の判事にはこれが分からなかったの??と思わずにはいられません。多数派の意見はAlito判事が書いてますが、先に結論ありきで、そこに向かってこじつけてみましたがいかがざんしょ?な感じがしなくもない。しかもポコポコ書き間違ってるし。(重箱の隅をつつくのが好きな方向け:意見書2頁目上から3行目「its patent」と斜字体で「First Qualityの特許である」と強調してますが、ここで引用されている特許はFirst Qualityの特許じゃなくて日本が誇る花王さんの特許なんですが。。。さらに意見書16頁目15行目「equitable estoppel bars First Quality's claims」は「SCA's claims」。当事者名を間違うって、どんだけ聞き流して結論ありきだったのさー、っていう感じが。。。)多数派は「著作権に関するPetrella事件判決が特許法にも適用する」と、どうしても持って行きたかったみたいで、その正当性を終始意見書で述べているような印象です。

少しおさらいしますと、Petrella事件では最初の著作権侵害から18年たってから侵害訴訟が起こされました。で、連邦地裁と控訴裁判所は「18年は遅すぎるでしょ」と権利行使を否定したわけですが、最高裁は「著作権法507条が『侵害から3年以内に裁判しなさい』と書いてるんだから、提訴の日から遡って3年以内に発生した侵害行為については権利行使が可能で損害賠償の回収を認めるべき」としたものです。著作権法507条は「侵害から3年以内に提訴しないとダメ」という提訴タイミングに関する時効を規定しているんですね。

一方、著作権法と異なり、特許法には「侵害からいつまでに提訴しないとダメ」という提訴タイミングを限定する規定がありません。だから10年後でも20年後でも提訴できてしまいます。そうした提訴期間の制限は無いのですが、特許法286条は「提訴の日から遡って6年までの侵害行為に関する損害賠償しか回収できませんよ」と定めています。つまり、286条は損害賠償の限定に関するものであって、提訴に関する時効を定めたものではなく、今回の争点はここにあったわけです。反対意見を書いたBreyer判事は「特許については提訴時効がないから、10年、20年待って特許技術が有効に利用されて成功するのを待ってからでも提訴ができる。そしてその時には被疑侵害者は散々設備投資等も行っていてその技術を回避することが出来なくなっている可能性が高く、ロックインされてしまう。そしてそんな風に何もしないで待った特許権者に対して、lachesを否定して過去6年分の損害賠償の回収は許される、とするのはおかしい。著作権法は特許法にくらべて随分最近成文化されたものであるから、そうした事象も勘案して例えば3年分の損害買収回収においても『被疑侵害者による貢献分』を損害賠償の算定において除外することが成文化されている。しかし特許法にはそうした『被疑侵害者による貢献分』を除外する規定も無い。そうしたことからも立法府が286条の損害賠償回収期間限定に加えてlachesの適用で不適切な権利行使を防ぐことを意図していたことは明らかではないか」と述べておられます。私もそう思う!!Breyer判事は「損害賠償は6年遡りますよ」という規定はあるが、提訴時効に関する条文は特許法になく、このギャップを埋めることを期待されているのがlachesである、という主張に賛成しています。

しかし多数派は、6年の損害賠償回収限定があればよく「特許法に『埋めるべきギャップ』はない」という立場です。どう読んでもBreyer判事の反対意見のほうが論理的にすわりがいいんですよ。多数派は「Petrella判決が特許法にも適用する」ことを前提で論理展開しているので、読んでいてあまり気持ちが良くないのは私だけでしょうか。。。どんなに後だしジャンケンをされてもそこから6年遡って損害賠償を支払わなくてはならない、というのが多数派の立場です。一応「禁反言」(エストッペル)という法理論で後だしジャンケンに対抗することもでき、多数派は「エストッペルがあるからいいじゃん」ということも言っています。これに対してBreyer判事は「多数派が言うように、エストッペルが大活躍してくれることを切に願う。」と意見書に記しています。

今回のケースでこの業界におられる皆さんがすぐに思うのは「また特許トロールが調子に乗る」ということですよね。。。うまくいけば待ちに待っても6年分の損害賠償が回収できるぞ、やほほーい!と思っている特許トロール(プラス、「じゃあ僕もトロールになろうかな♪」と考える予備軍)がきっと今頃たくさんいるんでしょう。しかも待ってもあまり悪影響が無いわけですから、特許技術がガンガン使用されるのを待ってから権利行使しよう、という人も出てくるかもしれません。せっかくちょっとトロールっぽい人達がおとなしくなりつつある感じなのに、こういう判決は切なくなります。。。あー、残念!



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by suziefjp | 2017-03-24 06:49 | 知的財産権 | Comments(0)
米国特許侵害裁判などのお仕事をしておられる方にとっては有名人のテキサス東部地裁のギルストラップ判事は、全国の連邦地方裁判所の中で最も忙しい判事の一人といっても過言ではありません。米国全土で新たに起こされる特許訴訟の4分の1以上がギルストラップ判事の担当になる、という話もあるくらいです。テキサス東部地裁は「特許権者寄りの判断をする」ことで有名なために、特許権者がわんさかテキサス東部地裁で特許侵害訴訟を起こすのですが、テキサス東部地裁で裁判をするために特許権者がペーパー会社をテキサス東部地裁の管轄地に作って訴訟をしている、というのもまた悲しい事実。そんな傾向にギルストラップ判事が「喝!」を入れた判決が2017年1月末に出ました。

米国では「例外的事件」と裁判所が認定すれば勝訴当事者は敗訴当事者から弁護士費用の回収等をすることが許されています。今回、ある特許トロールがどうもいまひとつの特許で和解金をせしめるためにデルやらアップルやらの名だたる企業を提訴したらしいのですが、これに対してデルが侵害主張が脆弱であるなどなどの略式判決を申し立て、ギルストラップ判事がデルの立場を認める判決を出したんですな。で、普通はここで終わるんですが、略式判決申し立ての中でデルが「この特許権者はそもそも特許権行使で和解金をせしめるためだけに設立されたペーパー会社で中身が無い、もし裁判所が例外的事件と認めてくれて弁護士費用の回収を命じてくれてもペーパー会社にそうした費用を賠償する資産がない」ということを指摘していたんですね。つまり、実際のその会社のオーナーである黒幕は和解金をまんまとせしめたらホクホク、もし負けて例外的事件として相手方の弁護士費用負担を命じられてもそれはそのペーパー会社を破産処理しちゃえば負担を逃れられて個人資産は守られて痛くもなんともなーい、それって許しちゃっていいんですかね?というところがクローズアップされたわけです。

で、略式判決後にギルストラップ判事がこうした問題について「判決後の証拠開示手続きをやる!」となりまして、出てきた証拠によると、この特許権行使会社の資産は問題の特許のみ、従業員ゼロ、和解金集めが目的、さらにオフィスの住所は黒幕オーナーが作ったほかの20社くらいのペーパー会社と共有、だから会社として家賃も払ってないのよーん、などの事実が出るわ出るわ。多分、同じようなことをしている特許トロールオーナーは他にもたくさんいると思いますが、今までこうした点について証拠開示をしよう!というチャンスが無かったので、こういう話が正式に表に出てくることが無かったんですね。

ギルストラップ判事は「これが『例外的事件』なかったら、そもそも例外的事件など存在しない!」として黒幕オーナー個人にデルへの弁護士費用支払を命じました。さらにこの特許トロールの代理人であった弁護士も懲罰対象として1万2500ドルの支払を命じられました。判決の中でギルストラップ判事は「こうしたしょーもない事件が裁判所の時間と労力奪ってしまって、真に解決されなければならない係争の障害になるのは由々しきこと」ということも言ってますから、しょーもない特許権行使には判事自身辟易していたのではないかと。。。ちなみにテキサス東部では同じ特許に関する侵害裁判は被告が違っても同じ裁判官に割り振られる(イリノイ北部地裁なんかはそういうシステムではなく、ばらっばらの裁判官にまずは割り振られます)ので、ギルストラップ判事はまだどういう人達が被告として残っているかを把握していることになります。そこで、今回お怒りになったギルストラップ判事が「この特許の侵害裁判でまだ係属中の他の被告に対して今回の私のこの判決のコピーを配りなさい」ということまで原告トロールオーナーに命じたとか。。。うわー、オーナー、恥ずかしー(笑)。

これで他のあやしげな特許トロールオーナーもおとなしくなってくれれば万々歳。正当な権利主張はとやかく言われるべきものではありませんが、こうしたスジの悪い権利主張にお上ががツンと喝をいれてくれるのは喜ばしいことです!

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by suziefjp | 2017-02-15 06:21 | 知的財産権 | Comments(0)
明けましておめでとうございます♪ 今年もゆるゆると細くながーく不定期更新でいきたいと思いますのでお付き合いいただければうれしいです。

年初は小ネタから。。。たまたまなんですけど、先日、ある方と話していたときに「え、そうなの?」と驚かれたので、これは小ネタとしてイケるか!?と思ってしまったのですが、「米国特許の登録日(issue date)は必ず火曜日」なのです。もしお手元に何か米国特許があれば登録日をカレンダーでチェックしていただければ、絶対火曜日のはずです。

なんで火曜日か、は、私も聞いてみた事があるのですが、みんな「さあねー。」でした。ある人は「昔はやっぱり全部印刷だったから、金曜にしめて印刷にまわして、で、印刷があがるのが火曜日だったのかなあ。」という人も。真偽はさだかではありませんが、なんだか今でも「特許の登録日は火曜日」というのが伝統的に残っています。

小ネタとして飲み会とかで使っていただければ幸いです♪
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by suziefjp | 2017-01-06 05:37 | 知的財産権 | Comments(0)
前回、日本企業にとってあまり楽しくない上訴事件の報告をさせていただきましたが、2016年を何か元気が出るかもしれないニュースで締めたいもんではありませんか♪と、いうことで、同じ上訴受理でも日本企業にとって良いニュースをお届けします。

2016年12月14日に最高裁判所が TC Heartland v. Kraft Food Brands Groupという事件の上訴を受理しました。ここで争われているのは「特許侵害事件において、被疑侵害者(被告)はどこで提訴され得るのか」です。皆様ご存知のとおり、現在はざっくり言ってしまうと被疑侵害者は被疑侵害品が販売されている州で提訴され得ます。広く販売されている製品であればアメリカの殆どの州で提訴され得ることになり、したがって特許権者寄りの判決が出やすいとされるテキサス東部地裁が特許権者(特にパテントトロール)に大人気を博してきたものです。データによると新たに開始される特許侵害裁判のうち半分近くがテキサス東部地裁で提訴されているらしく、テキサス東部地裁のギルストラップ判事はアメリカで最も担当時件数が多い連邦判事としても有名です。

今回の上訴では、やはりテキサス東部地裁で訴えられた被告がやってらんねーよ、と、この点を争ったかと思いきや、この上訴事件にはテキサス東部地裁がかかわっていないのがヒネリですな。この事件ではインディアナ州法人である被疑侵害者がデラウェア州で提訴され、それってどーなんですか、っていうのが最高裁判所まで上がってきたものです。
特許侵害裁判については連邦訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure)の1400条に特別の規定があり、「Any civil action for patent infringement may be brought in the judicial district where the defendant resides, or where the defendant has committed acts of infringement and has a regular and established place of business.」と定められています。この「resides(居住する)」がある判決から「その州が人的管轄権を持つならその州に居住とみなす」とされてきたために、その州で被疑侵害品が販売されていればその州で提訴され得る、となっていたわけです。

今回の上訴で被疑侵害者は「法人にとって居住するとはその州で設立されたことを意味する」と主張しています。もし最高裁判所がこの被疑侵害者の考え方を採用すると、これまではテキサス東部に集中していた特許侵害裁判が、今度は会社設立が多い場所としてよく知られるデラウェア州に集中する可能性があります。一般に、デラウェア州の判事は非常に中立で「特許権者寄り」ということはありません。優秀な判事さんもたくさんおられ、IPR係属中の訴訟一時停止にもオープンですので被疑侵害者にとってはやりやすい裁判地といえます。

さてさて、さらば、テキサス東部地裁となるか!?いや、別にテキサスでもいいんですけど、要はいいがかりみたいないい加減な特許侵害主張が減少するのであればテキサスでもデラウェアでもいいんですよね。。。テキサス東部を離れることで、いい加減な特許侵害主張に対して訴訟初期の取り下げ申立がしっかり検討してもらえて有効な対抗手段となるのであれば、それが一番です。

この事件と前回おしらせしたハーグ条約の件は、最高裁がどう判断するかドキドキです~~!
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by suziefjp | 2016-12-29 07:26 | 知的財産権 | Comments(0)
お久しぶりでございます。しばらく時間が空いた間にトランプ氏が大統領選挙で勝っちゃったりして、なんだかもうエライことです。

そんなエライところにまたしてもエライことになるかもしれないことが起きてしまいました。知財事件に限らず、労働問題でも契約違反でもなんでも、日本企業をアメリカで提訴することがとっても簡単になってしまうかもしれません。と、いうのは12月2日に米国最高裁判所が国際訴状送達に関するハーグ条約の解釈を求める上訴を受理しちゃったんです。事件はWater Splash, Inc. v. Menon (No. 16-254)で、もともとはアメリカの会社がカナダの個人をビジネス干渉他を理由に訴えたものです。アメリカの会社が訴状をカナダに郵送したのですが、返事がなく、欠席裁判で企業有利の判決になったのですが、カナダの個人が郵送による訴状送達は無効として欠席裁判判決の取り消しを求めた事件で、「郵送による訴状の送達はハーグ条約で認められているか」という問題が最高裁判所に上がってしまったものです。

ご存知の方も多いと思いますが、米国裁判所で日本企業を訴えようとすると、ハーグ条約にもとづく訴状送達をせねばならず、日本の裁判所経由で翻訳を提出して、、、としている間にお金も時間もかかるため、特許侵害裁判だと被疑侵害品を販売している米国子会社だけが訴えられることがよくあります。特許権者は日本親会社を提訴しないことで面倒なハーグ条約の手続きを省略できるのですが、証拠開示手続では製品設計等の技術情報はすべて日本の親会社が持っていて技術情報を米国子会社経由で入手するには制限もあり、侵害立証が難しくなってしまうというデメリットがあります(米国の多くの判例で、子会社が親会社に書類を全部出せ、というのはさすがに限界があるよね、という点が認知されています。さらに日本は訴訟証拠提供のハーグ条約には批准していないので、訴訟当事者ではない日本の親会社に直接書類提出を要求する手段が米国の特許権者にはありません。)実務において、この点を利用して日本親会社がもつ資料を証拠開示手続きで出さないよう争ったご経験をお持ちの方もたくさんいらっしゃるかもしれません。

ハーグ条約の10(a)条では「Convention shall not interfere with (a) the freedom to send judicial documents, by postal channels, directly to persons abroad」とあり、批准国が10(a)条を明示的に拒否しなければ10(a)条が適用されます。日本は拒否していませんので、日本在住の企業を米国で訴える場合、郵送で送達できるのでは?という説が出てくるわけです。現在は米国の判例でもこの「send(郵送)」は「serve(送達)」を含まない等の諸説があり、郵送による訴状送達の可否が明確ではありません。さらに日本法はそもそも職権送達主義(=国内訴訟の訴状送達は裁判所によりなされなくてはならない)であり、10(a)条が郵送などによる当事者送達主義を認めるものであったなら日本は拒否していたでしょうよ、拒否してないってことは違うんですよ、的な立場で、日本は10(a)条を解釈してきたのかもしれません。

今回、米国最高裁判所がこのハーグ条約10(a)条の解釈をすることになってしまったので、「郵送オッケー♪」と解釈されると、米国訴訟における日本企業への訴状送達がものすごく簡単になり、ひいては米国で日本企業を提訴することがものすごく簡単になります。すると、特許侵害訴訟ではこれまでの米国子会社のみを訴えるアプローチから日本本社を訴えるアプローチに切り替わる可能性もあり、そうなると、日本本社が証拠開示手続に当事者として対応しなくてはならなくなります。もし郵送された訴状に対応しなければ、欠席裁判となり、相手方が求める要求どおりの判決となってしまう可能性もあります。

最高裁判所が扱う事件では、第三者がいずれの立場を支持するか、を表明するためのamicus briefの提出が許されているので、今回の事件でもたくさんの法曹団体や企業がamicus briefを提出することが予想されます。しかしこれ、条約の話なのに、勝手にアメリカで解釈しちゃっていいの??というのがどうしてもひっかかる!日本の外務省、これ、いいんでしょうか?日本国内法(=職権送達主義)とも齟齬が出る可能性がありますし、どーすんの??なんか国際条約を「アメリカで解釈決めちゃっていーじゃん。」って、アメリカっぽいけど納得できない。。。

日本企業でも、大きな影響を受けるご心配がある場合はアメリカの弁護士さんに相談なさってamicus briefの提出をご検討なさるのも良いかもしれません。この事件の最高裁判所の判断は必ずまた報告したいと思います!
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by suziefjp | 2016-12-08 05:39 | 知的財産権 | Comments(0)
今更感もありますが、いまだにドメインネーム詐欺が横行しているようです。
特に中国の政府系機関を装って:
「我々は中国政府からドメインネーム登録手続きを請け負っている機関です。この度、○○.cnというドメインネームの登録申し込みがありましたが調べてみたところ、御社が所有している商標がこのドメインネームの大部分(○○該当部分)に使用されているようです。そうした場合、我々は商標権者に連絡するよう義務付けられています。
もし御社がこうしたドメインネームの登録を許可した、などの事情があったり、その他本件の解決について何かあればすぐご連絡下さい」
みたいな英文メールが突然やってきます。これに返事してしまうと、登録させない代わりに金銭の支払を要求されたり、あるいは「しめしめ、この会社は商標権保全のためにお金を出すようだぞ」などと思われて別の攻撃をしかけられたりする可能性があるので要注意です。このような意味不明のメールを受領したら、社内で法務部や知財部にすぐ連絡をして勝手に返事しないように、と徹底しておくことが大切です。

そういえば弁護士事務所側をひっかけようとする詐欺メールもすごい多いんですよ。例えば日本に実際に存在するそれなりの会社名で、「知財問題があって知財弁護士を探しています。もし貴所が弊社を代理できるならすぐ連絡下さい」みたいなメールが英文で来ます。これ、仕事を探していて、日本のことをあまり知らない弁護士さんだったら返事しちゃうかもしれませんよね。こうしたメールの特徴は日本の実在の会社名を語りつつ、発信人が社長名でGメールアドレスだったりします(笑)。いやいや、こんなそれなりの会社でしゃっちょさんが自らそんなメールをプライベートメールで出さんわな、ってな感じです。でも、有価証券報告書とかもともとの実在のウェブサイトで社長名見つけて、その社長名でG-mailとか設定してわざわざやってんだな、と思うと、その情熱をどこか別のところに向ければいいのに、と思わずにはいられません。

この手の詐欺はほんとやり切れんですねー。くれぐれもひっかからないようにご注意を!
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by suziefjp | 2016-08-09 05:21 | 知的財産権 | Comments(0)
2014年12月に「IPRの調べ方」記事で、IPRの状況について検索できる特許庁のデータベースのお知らせをしておりますが、あのポータルが変更になっていますので、アップデイトしておきますね。現在は、こちらのウェブサイトから以前と同様に検索できます。検索自体はログインとかしなくても大丈夫です。I am not a robotのチェックマークを忘れると検索できませんので、お忘れなく!(チェックマークするだけで検索できるときもあるんですけど、なんか写真とか出てきて「この中から「木」の写真を全部チェックしなさい」みたいなテストで「ロボットじゃありませんよ」チェックをされるときもあります。)

取り急ぎのアップデイトでした!
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by suziefjp | 2016-07-26 05:15 | 知的財産権 | Comments(0)
相変わらず大人気のIPRですけれども、実はIPRに関して最高裁まで上訴されている問題がありました。それは①IPRにおいて請求項の解釈基準として適用されている「Broadest Reasonable Interpretation」(BRI)は適切か。裁判所における請求項解釈基準と統一すべきではないか、②IPRを実施するか否か、というPTABによる決定は現在控訴できないが、控訴できるようにすべきではないか、の2点でした。

今回、この2点が最高裁判決で明示されたのですが、原文をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。結論としては、①IPRではこれまで通り、BRIを適用して特許の有効性を判断する、②IPRを実施するか否か、という決定は控訴できません、ということで、現状維持となりました。

IPR人気の理由の一つは①の「BRI」基準です。この基準のために特許が無効化されやすいんですね(=請求項の範囲が広いと先行技術も見つかりやすいので)。この基準の適正について疑義を呈した側は「審査中はこの基準であっても請求項を修正する機会があるから良いけれど、IPRでは請求項の修正が許されることは稀で、だとするとBRIを適用するのはアンフェアだ。」と。最高裁としては、「いやー、でもさー、特許庁の請求項解釈基準はもう100年ずっとBRIなんだし、それでいーじゃん。」と、まあ、そこまで軽くいいませんが、そんな感じです。加えて「請求項が広すぎる特許は公共の利益にならないし、そういう意味では不適切に範囲が広すぎる特許がPTABのプロセスで駆逐されることには意味がある」てな感じのことを言っています。

裁判所で特許の無効性を争う場合、ご存知の方も多いと思いますが、まずはマークマン・ヒアリングなる手続きで請求項解釈を行います。ここでは明細書等に照らして当業者であれば通常どのようにその請求項を解釈するか、といった基準で解釈され、必ずしもBroadest、「最広義」に解釈することにはなりません。

とりあえず、今回の最高裁判決でまだしばらくIPRの人気は続きそうです。
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by suziefjp | 2016-06-21 06:32 | 知的財産権 | Comments(0)

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