米国知的財産権日記

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ITCのEPROMsテスト (1)

アメリカではニューオーリンズでマルディ・グラのお祭りです。色んな山車が出てそりゃあもう大変な騒ぎになります。私は行ったことはないんですが、NYの法律事務所で働いていた頃、担当の訴訟がルイジアナであってニューオーリンズの弁護士さんにローカルカウンセルをお願いしていました。で、電話したら・・いない。マルディ・グラの頃はお祭りの前1週間くらいからみんな準備で休んでるのよー、とか、平気で言われてびっくり。1週間、祭りの準備。マジか・・・。

マルディ・グラはフランス語でいうFat Tuesdayです。カトリックで明日はAsh Wednesday で、Lentが始まります。Lentの期間は一応断食をするので、その前にすんげー食べておこうぜ!というのがFat Tuesday。うちの会社でも今日、アドミニストレーションが「Fat Tuesdayだから」ということでドーナツを用意しててくれました。しかも、「paczki」(プーンチキー、と発音するそうですが)と呼ばれるポルトガル・ドーナツ。中にクリームとかフルーツジャムとかが入ってて、外に粉砂糖をたくさんまぶしたドーナツです。(すいません、今日カメラが会社になくて・・・。)ラッキー♪と思って食べたら、これ、1個で400カロリー(涙)。時すでに遅し。食っちゃった・・・。Fat Tuesdayの罠。

さて、昨日のITCの続きです。今日はEPROMsテストです。昨日、一番ITCでもめるのは、侵害を主張されている部品を使用した完成品(downstream product)を米国市場から排除するかどうか、というお話をしました。このdownstream productを排除するか否か、で使われるテストがEPROMsテスト、というものです。EPROMsテストには全部で9つの要素があります。連邦地方裁判所での特許侵害裁判では損害賠償算定のためにダメージ・エキスパートに色々な情報を提供しますが、ITCではそうしたエキスパートにこの9つを判断できる資料や情報を提供することになります。余談ですが、ITCでは我々のことをdamage expertととは呼ばず、remedy expertと呼びます。理由はカンタン、ダメージは「損害賠償」の意味だからです。ITCで与えられる救済(remedy)は損害賠償ではなく、対象製品の排除ですから、ダメージ・エキスパートとは呼ばず、remedy expertと呼ぶんですね。

では早速、EPROMsテストを見て行きましょう!

1.Value of article relative to value of downstream product:侵害主張されている部品が完成品の価値全体に占める割合 -これが高ければ高いほど、排除が認められやすくなります。つまり、完成品とはいえ、その価値のほとんどって、この侵害主張されている部品から創出されているんだから、部品が侵害品で米国に持ち込むべきではないから完成品もダメでしょ、というところでしょうか。

2. Identity of downstream manufacturer: 完成品の製造・販売者が誰か -これは我々が作業するときは、どれだけ部品から完成品の米国での販売にいたる道のり(販路)が複雑か、をチェックしています。例えば、問題の部品が日本国内で企業Aに売られて半完成品になり、その半完成品が中国で企業B、C、Dに売られ、それらが完成品にして、企業B、C、Dの作った完成品のうち一部がカナダに入り、そこから一部はそのままカナダで流通、他はアメリカに入ってきて・・・のようなものす。これが複雑であればあるほど、「これ、全部おっかけてそうした完成品メーカーを排除しようとしたら大変ですぜ、もう誰がこの部品使った完成品をアメリカに持ち込んでるか分かりませんぜ」というのがいえるほど、排除命令が出づらくなります。排除の現実性が低くなるからかな?(勉強してから説明しろよ・・・。すいません、こういう情報見つけろ!という掛け声の下でとにかく締め切りまでに仕上げるための活動が多くてあらためて理由を考えることが少ないもんで・・・。いかんなー、そういう仕事の仕方はっ!)

3. Incremental value of downstream exclusion to complaint:排除が認められた場合、排除命令を請求した当事者が得られる利益 -これは言わずもがな、でしょうか。ITCは排除することが公益に資するか、というところをチェックします。ですから、この3と、以下の4、5とのバランスを勘案して、排除命令を出すのがいいのか、を判断します。例えば、排除を申し立てている人が自分では事業化していない個人発明家のケースを、競合製品を製造・販売している企業が申し立てたケースにくらべると、申立人が得られる利益、というのは少なくなります。

4. Incremental harm of downstream exclusion to respondent:排除が認められた場合、訴えられている側が被る損害 -これは3.で得られる利益と比べて、どちらが重要か、を判断するためです。例えば、対象製品が訴訟されている側の主力製品であり、これが排除されると売上の80%に影響が出るし、もし、非侵害の代替技術があるとしても、そちらに移行するには新たな設備投資がウン億円必要かつ実施までに短くて3年はかかるだろうし、しかも現在使用している設備はゴミのヤマと化す・・・と、まあ、これは極端な例ですが、排除によって被る損害が大きければ大きいほど、排除命令が出にくくなります。逆に、「すぐ別技術にシフトできるし、ま、製品としてもすんごい少ないし、排除されてもあんまし痛くも痒くもないかもー」というケースだと、排除命令が出る可能性がグンと上がります。

5. Burden of 3rd parties from exclusion:排除された場合の第三者への影響 -これが公益の観点です。例えば、対象製品が心臓ペースメーカーで、この製品がなくなると助かるはずの命が助からなくなる、代替品もありません、みたいな事情はこれにあたります。これだと第三者への影響がとんでもなく大きいので排除はダメ、ということになります。あと、まあ、ケースとしては考えにくいですけど、ある技術標準にもとづくプレーヤー、たとえばDVDプレーヤーなんかがdownstream productとして対象になったとします。侵害を申し立てられたのはDVDプレーヤーのメーカーとしては巨大メーカーでアメリカ市場で売られているDVDプレーヤーの5割がこのメーカーのもの、という場合、このメーカーが排除命令を出されると、失われる5割をカバーするために他のメーカーが急に増産するのも無理、するとアメリカの消費者が適正な値段で買えなくなる。。。なんてのも、このケースです。こういう場合もやはり、排除命令が認められづらくなります。なので、この要素をみるために市場シェアデータや市場予測なんかが重要になってくるわけです。

次回は残りの要素をカバーしますね♪
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by suziefjp | 2009-02-25 07:33 | Comments(0)

初ブログ

ども、初めまして!
アメリカで知的財産権の評価・活用・流通のお仕事をしている頑固な日本人です。自然資源の少ない日本が「やっぱ日本ってすげーよな!」と世界から評価される一つのネタとなり得る知的財産権。日々のお仕事の中で「もっとこうしたらいいんじゃないかな。」「こういうことって日本で知られてるのかな」そう思うことがたくさんあります。「こうしろ!」じゃなくて、「あー、こういう風に思ってるヤツがアメリカにいるんだ、ふーん。」それくらいのノリで、情報提供ができたらいいなあ、と思っています。

ご質問も大歓迎です。「アメリカで今どうなってんの?」そんなご質問も分かる範囲でお答えするよう頑張ります!細く長く、続けられたらいいなあ。。。

b0149998_6113995.jpgとりあえず、最初に写真がないのもなんだか寂しいので、私の住んでるシカゴの風景をどうぞ♪冬はとんでもなく寒いですが、ここのところはとても素敵な夏空です。

どうぞこれからよろしくお願いします!
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by suziefjp | 2008-06-23 06:12 | Comments(0)

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


by suziefjp