米国知的財産権日記

iptomodach.exblog.jp
ブログトップ

知財流通市場の台頭は知財の価格を上げるか?

今日のタイトルはなんだか真面目。これ、実はとてもよく聞かれます。最近、オンラインの知財オークション、ライブの知財オークション、あと、知財信託なんかもよくニュースでみかけるようになりました。かつて、知財の取引というのは水面下で行われて結果も機密保持でがっちり外にでないように、というのが主流でしたが、今はある知財がいくらで取引された、とか、ある知財の侵害で損害賠償金がいくらだった、とかの情報が昔よりもかなり入手できるようになりました。

そこで質問「こうした情報が出てくると、知財の価格は上がっていくのか?」

これ、結構そういう風に思われるかもしれないですが、答えは「否」だと思います。今まで、知財の取引が水面下で行われていたために、相場観とかが分からなかったわけで、ある意味、ライセンスする側、売る側だって吹っかけ放題、買う側だって叩き放題、さあ、どのあたりに落ち着くのか、というのが本当のところだったと思います。

これが相場観がわかるようになると、お互い無茶を言えなくなってきます。もちろん、技術の一つ一つ、特許の一つ一つは違いますから、あくまでも相場観です。知財の価値評価アプローチにはいくつかの種類がありますが、「マーケットアプローチ」という市場での類似技術の市場価値を参照する、というアプローチがいまひとつ機能しなかったのは、類似技術の相場情報がほとんど無かったからです。こうした情報が入手できるようになれば、このアプローチも、もっと実効性が出てくるようになると思います。

一見、知財の価格が上がったように見えるのは、それだけ「こういう知財が取引されました」という情報に露出されることが増えたので、そのように感覚的として価格が上がったように思う、ということではないでしょうか。以前はそういう話が表に出ることは稀でしたものね。

相場観の一つとして、こういうサイトもあります:
http://www.otpba.com/transact_complete.asp

ここでは過去成立した特許売買の情報が提供されています。こういうのを見ながら、うーん、じゃあ、私の技術だといくらくらいかしらん?と、考えてみるのは悪くないアプローチだと思います。

これと同じような疑問で、「知財流通が進めばイノベーションは進むか?」というトピックがあります。これは「進む」という人もいますが、私は反対です。私はそれは殆ど「風が吹けば桶屋がもうかる」レベルの乱暴な主張だと思っています。

正確には、正しい知財流通が進むと、市場でニーズのある技術等が分かってきます。逆に、いくらユニークでも市場でニーズのない技術はやはり流通の対象にはなりません。ですから、知財流通が進むと、どういう技術が市場でニーズがあるのか、が、明らかになり、そのエリアの研究開発が進む、ということ、さらに、そのエリアでも玉石混交だから、何が「玉」で何が「石」か、が明確になってくる、ということだと思います。これを「イノベーションが進む」というのは言いすぎかつ、かなり事実をはしょったコメントといわざるを得ません。

大事なことは何が「玉」で何が「石」かを見極める力ですね。流通が進んできたから、といって、「石」に投資しても仕方が無いわけで。こういうときにお金持ってる人たちが石だろうか玉だろうが、ばこーん!と、まとめ買いしちゃうようなことが多発すると、このあたりがブレちゃいますね。「石」を持ってた人にすれば「ほら、やっぱり私の技術は価値があったのに、誰もわかってくれなかっただけなんだ!」なーんて。

一つだけ申し上げておかなきゃいけないのは、流通されないケースには2つのパターンがある、ということです。一つは市場でニーズがない。もう一つは、虎の子だから絶対外に出さない。この2つです。ある技術を見据えたときにどちらのパターンなのか、これが正しく判断できるのが知財担当者の腕の見せ所でしょう!!Go, go, 知財担当者!!

まあ、100%完璧なアプローチってないわけですけど、ようやく始まりだした日本での知財流通、健全に進んでくれるよう祈ってやみません。。。

今後、実際にどんな流通市場があるのか、を具体的に紹介していきたいと思います!
[PR]
by suziefjp | 2008-11-22 05:48 | 知的財産権

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


by suziefjp