米国知的財産権日記

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「Regular and established place of business」を考える - TC Heartland判決余波

なんと2017年もはや4分の3が終わろうかという今日この頃。。。早いっ!
そんなわけで、以前報告させていただいた最高裁判所のTC Heartland判決からも約4ヶ月。TC Heartland判決が出るまでは、裁判管轄地の適性判断基準のひとつである「通常かつ確立した事業地」(regular and established place of business)が特許裁判で検討されることはほとんどありませんでしたが、TC Heartland判決を受けて、少しずつですがこの文言をいかに解釈すべきか、という判決が出てき始めているので少し紹介しますね。

まずはTC Heartland判決の影響で特許侵害裁判提訴数が激減したテキサス東部地裁ですが、有名判事のギルストラップ判事がRaytheon Co. v. Cray, Inc., Civil Action No. 2:15-CV-01554-JRG, 2017 U.S. Dist. LEXIS 100887 (E.D. Tex. June 29, 2017)という事件において、この文言をどう解釈するか、について述べています。はなはだテキトーではございますが、翻訳すると以下のような感じです:

まず最初にテキサス東部地裁管轄地に被告が保有する、資産、在庫、インフラ、人材といった物理的存在の程度を検討する。小売店や倉庫、その他の施設がこの地区にあるのなら、テキサス東部地裁に「通常かつ確立した事業地」あると判断する方向に大きく傾くであろう。。。次に、被告が対内、対外的にこの地区に自らが存在しているということをどの程度知らしめているかの程度を検討する。3つめには被告がこの地区における自らの存在からどの程度利益を得ているかを検討するが、これは売上額の検討に限定するものではない。最後に、裁判所は被告がこの地区に存在する潜在顧客、顧客、ユーザー、その他にターゲットを絞って行うやりとりの程度、地域に絞ったカスタマーサービスや、この地区で継続する契約関係、ターゲットを絞ったマーケティングといったものを含めて、その程度を検討する。

これに対しては、「これでは広く『通常かつ確立した事業地』が認められることになり、TC Heartland判決の影響を皆無にしてしまうに等しい」と、かなりの批判が出ていました。また当事者であるCray Inc.もこの決定を不服として連邦巡回控訴裁判所に控訴しています。控訴申立書においてCray Inc.は「物理的存在がその地区になくても『通常かつ確立した事業地』が認められる得るのか」、「在宅勤務の社員がその地区にたまたま居住すれば、それは『物理的存在』とされるのか」の二点を具体的な問題として連邦巡回控訴裁判所にたずねています。特に後者は、インターネットの普及で在宅勤務が増えつつある中、非常に重要な問題になるのではないかと思います。連邦巡回控訴裁判所がこの控訴を取り上げるかは本日時点では未定です。

一方、TC Heartland判決の影響で(多くの会社がデラウェアを設立登記地としているため)特許侵害裁判提訴数が逆に激増しているデラウェア州では、最近になって「小売店舗などが必要とまでは言わないが、何らかの物理的存在は必須」という判決を出しています。その事件では、被告はデラウェアを含む全米で製品を販売しており、営業さんはデラウェア内の顧客とコンタクトがあるが営業さん自身がデラウェア在住ではなく、かつて一人の営業さんが19ヶ月ほどデラウェアに住んでいたが、その人はデラウェアの顧客担当ではなかったし、かつ、その営業さんはすでに会社をやめている、という状況でした。この状況ではデラウェアに物理的存在があるとは言えない、とされました。この一方で、つい最近、Bristol-Myers Squibb Company et al v. Mylan Pharmaceuticals, Inc., 1-17-cv-00379 (DED September 11, 2017)という事件では、デラウェア連邦地方裁判所の管轄権が認められたのですが、これは製薬系の方ならよくご存知のAbbreviated New Drug Application (ANDA) 訴訟の事件です。裁判所は、被告自身はデラウェアに物理的存在を持たないものの、被告は大きなグループ会社の一員で、そのグループ内で規制当局の認可を得る役割を担っており、被告自身が頻繁にデラウェア連邦地方裁判所にANDA訴訟を申し立てていること、被告の働きによって裁判に勝利すればグループのジェネリック薬がデラウェアを含む全米で広く販売されること、そのグループ会社にはデラウェアで設立登記されている会社が多く含まれること、は、被告の「通常かつ確立した事業地」の有無の判断において大きく考慮されてしかるべき、としました。都合よくデラウェアの裁判所をしょっちゅう使ってるのに、自分に都合が悪いときは「デラウェア関係ない」って、それはダメでしょ?ってな感じでしょうか。

管轄地判断における「通常かつ確立した事業地」解釈に関する判決はまだこれからも出てくると思いますので、適宜アップデイトしていきたいと思います!





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by suziefjp | 2017-09-19 02:06 | 知的財産権 | Comments(0)

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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