控訴での請求項解釈見直し基準が変更です!
特許侵害裁判になると、手続きの一つとして問題の請求項はどのように解釈する、ということを決定するための「マークマンヒアリング」が実施されます。(請求項解釈は法律判断、ということで陪審ではなく裁判官がヒアリングで決定することになっています。)で、この結果を控訴審(連邦巡回控訴裁判所)で見直す際には、控訴審がゼロベースで解釈を行う、というのがこれまでのやり方でした。これに対して「いやいや、それはちょっとちがうんじゃないの?」ということで出た判決が今回の最高裁判決です。
今回の最高裁判決により、今後のマークマン決定に関する控訴については、何らかの事実にもとづく解釈は「地裁レベルで明らかな間違いがあったか」という基準で控訴審が見直します。事実にもとづかない解釈についてはこれまでどおりゼロベースで解釈しなおします。「事実にもとづかない解釈」とは、請求項の記述そのもの、明細書や審査経過といった、いわゆるintrinsic evidenceにもとづくような請求項解釈(=法律に基づく解釈)で、これらは今後も控訴審によるゼロベースでの見直し対象です。一方、ある時期にその用語が業界でどのように解釈されていたか、とか専門家証人の証言といったいわゆるextrinsic evidenceにもとづく請求項解釈については、「地裁が明らかな間違いをおかしたか」という基準で見直されます。
なんと今日の知財系ニュースによると、この1月20日の最高裁判決にもとづき、すでに最高裁が同様の3件の上訴につき控訴裁の請求項解釈の基準が間違ってた、ということで控訴裁に差し戻したそうです。すでに3件!結構インパクト出てますなー。
この最高裁判決にもとづいて、これからどないするねん?ということを考えますと、地裁レベルでのマークマンヒアリングの準備をちゃんと考えたほうがいいと思います。「何に基づいてある請求項解釈を主張するのか」により、あとあとの控訴審レベルでの解釈見直し基準が異なるためです。いずれの基準で見直されるのが自分に有利か、は、ケースバイケースですから一概には言えませんが、自分たちの立場、主張したい内容とかを勘案して「何にもとづいて主張するのが良いか」という点が一つの訴訟戦略を考える上での検討事項になると思います。
それにしても知財系の最高裁判決、増えましたよねぇ。。。