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米国知的財産権日記

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専門家にまかせることも大事

日本はゴールデンウィークですね。せっかくの旅行シーズンなのにこの豚インフル。昨日は朝からシカゴでも地元の幼稚園で疑わしいケースが出た、イリノイ州でも発症か、と、breaking newsとしてやってました。すごい騒ぎになってきました。花粉症の季節に同僚を日本に連れて行くと、みなさんマスクをしているのが珍しくて「なんで?なんで?」とやたら聞かれましたが、シカゴのマスク人口が増えるのもすぐかもしれません。

さて、今朝、大手米国事務所のモリソン・フォスターが知財コンサルティング会社と提携した、というニュースが入ってきました。モリソン・フォスターのプレスリリースはこちらからどうぞ。多様化するクライアントの知財ニーズに応えて、このコンサル会社と提携して知財戦略コンサルや知財評価、流通、管理なんかもサポートしちゃおう、ということのようです。提携先のOvidian Groupは元ヤフーの社内弁護士さんが立ち上げた会社だそうな。

やはり知財のニーズが多様化していることは間違いないんでしょうねー、モリソン・フォスターがこういう提携に踏み切るくらいですから。私としては嫌いじゃないです、こういう提携。モリソン・フォスターは有名弁護士事務所ですが、弁護士としてのスキルセットって、コンサルとしてのスキルセットとかなり異なります。だったら、自分達が無理してコンサルするより、それを専門とするところと提携して提供した方が、お客様にとっても無駄が無くてより良いサービスが提供できるのでは?・・・と、モリソン・フォスターが考えたかどうかは知りませんが(笑)、そういう風にも解釈できます。日本でもやはり知財戦略立案のサポートが必要、そこで弁理士の先生がコンサルを提供しよう、ということになってますが、これ、弁理士の先生がやったほうがいいのか、別の人がやったほうがいいのか、というところは考えられてないかもしれないですね。

私は弁護士も経営コンサルもやりましたが、その経験からいくと、この2つ、明らかに、全く、全然、異なるスキルセットなんですよ。前にも書きましたっけ?忘れもしない、コンサルに転職してすぐ、某パートナーが「あなたはリーガル・バックグラウンドだっけ?あー、そうかー、いやー、リーガルはコンサルに使えないんだよねー!」・・・・あ、あ、あなただって、私のこと面接しましたよね!?しかも、私がリーガル・バックグラウンドということで、司法改革がらみの質問をしたのはあなたでしたよね!?それなのに今更~~~!!もう転職しちゃったじゃーんっ!!

ま、その後非常に忍耐強くかつ教え方が上手なマネージャーのおかげで私はおちこぼれコンサルタントからなんとか脱出できたわけですが、いったん脱出すると自分の何がいけなかったのか、なぜリーガルはコンサルに使えないといわれたのか、が良く分かります。たとえば法律家、特に契約とか(弁理士の先生だったら出願の明細書とかそうなのかな?)、重箱の隅をつつくように、穴が無いようにドラフトしますよね。でも、経営判断って、たとえば80%オーケーならGO!といえる思い切り、リスク・テイキングが必要です。でも、弁護士さんとか社内法務部のメンタリティって、多分、そういうところから一番遠いんですよ。でもこれが弁護士さんや社内法務部の役割として期待されるところだから当然、それでいいわけです。弁護士さんとかも一緒になって60%でいーやん、それいけー!と、走るとブレーキがなくなり、危なくって仕方が無い。

今自分に期待されている役割は何か、と、気持ちや手法をサクサク切り替えられれば別ですけど、そういうのも難しいですから、明らかに別スキルセットならモリソン・フォスターみたいに、それができる人と組んでクライアントニーズを満たす、というのは正解なのかも、と思います。結果的にそのほうがお客さんの得る利益も多いかもしれんですし。

アメリカだとこれは君の仕事、という分業がクリアですが、日本って良くも悪くも全部自分でやらなきゃ、みたいなのがあるのかもしれないですねー。特許流通でも、外からは絶対買わない、自分達で開発する、という傾向が強いのも日本です。あと、もちろんアメリカにもいますけど、日本のほうが圧倒的に多いのでは?と思うのがプレイング・マネージャー。管理職だけど自分も実務やっちゃうよん、みたいな。人手が足りなくてやらざるを得ないケースも多々ありますが、結構なケース、人にまかせたら不安、あるいは管理より実は実務が好き、という理由でプレイング・マネージャーになってるケースも多そうです。この場合、部下が不幸。とても不幸。なぜなら、多くの場合、そういうプレイング・マネージャーは「マネージャー」業のほうは放棄しちゃうからです。(そして多くの場合、本人に「放棄している」という自覚が無い。)

人に任せない、アウトソースしない理由は、つきつめると、その任せ先を信用できないから、か、自分でしたいから、の、どっちかなんでしょうねー。日本で弁理士さんがコンサルを提供しよう、というのはどっちなんでしょう?あと、クライアント側から見て、日本は先生業に弱いので、コンサルなんて信用できない、先生のいうことじゃないと、というニーズもあるのかもしれません。いわゆる、町医者より大学病院。でも、コンサル業ではよく「クライアントさんがどんなことでも相談できる「町医者」になりなさい。自分で解決できないことも出てくるから、誰に聞けば解決できるか、そのネットワークの構築に日々つとめなさい。」と、言われたモンです。そもそも目指してるのが町医者のところに、お客さんは大学病院に行きたいんだ、ということだと完全にすれちがっちゃってるワケですが。。。

と、すると、先生業を窓口にその道の専門家が入ってくるモリソン・フォスターのやり方って、特に日本市場向けにはとても正しいのでは、という気がします。この提携はアメリカでのもののようですが、日本でもこういう手法が出てくるのは時間の問題かもしれませんね。日本にはまだまだ知財コンサルがないですから、それこそ日本の弁理士や弁護士の先生が海外のコンサルとの間に入ってくれたら、、、みたいなニーズは実はアメリカよりも大きいのかもしれません。

うーん、なんかまとまりが無いですけど、ご容赦を。。。
by suziefjp | 2009-05-01 06:08 | 知財経営

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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