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米国知的財産権日記

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中国知的財産権日記?

タイトル変わってるやん・・・・と、いうのも、今日は知り合いの中国の知財弁護士の方が事務所に来てくれたので、「中国の知財評価や流通の状況について」教えてもらいました。なので今日は中国知的財産権日記なのです。

昨年11月20日には、なんと中国でも公開知財オークションが開催されたそうです。まさにオークショニアがいて、みんなの入札で値段があがっていって、最高額が落札する、というアレですよ。上海政府の主催で、複数日にわたるイベントのキモとして最終日に開催されたそうです。出品された特許はすべて中国特許で、8件、そのうちしっかり7件が落札されたそうです。多少の仕込みもあるかもしれませんが(笑)、オークションという市場を根付かせたいという政府の意気込みが感じられます。

買い手や売り手はどういう人ですか?と聞いてみると、売り手はプロの発明家(だってホントに「professional inventors」っておっしゃってたんですよ)、知財を売って資金調達しようとする中小企業で、買い手はその特許を事業で使って製品やサービスを提供しようとする事業会社だそうです。米国では知財を買うときに、事業化も重要な理由ですが、防御目的に買う、というのも非常に重要です。中国ではまだまだ防御のために知財を買う、という考え方はあまりないそうです。事業で使うために買う、これが基本だそうな。まだまだ事業をするために特許の数を増やそう!というフェーズなんでしょうね。

驚いたのはその落札価格。7件の特許の総落札額はなんと3,386万元!今のレート(1元=13円)とすると、これは4億4千万円!1件当たりの落札額が6千万円を超えることになります。こりゃ大したもんだ。事業でこの特許技術を使用して投資回収するには、何を社内R&Dでやって、何は社外から買って来て、というところの線引きとか予算編成がちゃんとできていないとだめですが、それがちゃんとできている・・・ということを期待していいのかな。これは立派。中国といえば、商標権や著作権の問題で話題になりがちですが、こういうのは明るいニュースですね。特許の流通市場がきっちり立ち上がるのも、日本より中国の方が案外早いかもしれません。ちなみにこのオークション、「政府が結果とか発表しているよー」と、おっしゃっていたので調べてみたら、確かに上海の知財局かな?のウェブサイトにありました:
http://www.sipo.gov.cn/sipo_English/news/localip/200812/t20081209_429507.htm

この友人の事務所は北京と上海にありますが、最近は中国での特許取得が世界的に活発化していて、出願代理のお客様の割合は、中国企業が5割、残り5割が中国以外のお客様だそうで、多い国はドコ?と、聞いたら、最初に返ってきた答えが「ヨーロッパ」。これはちょっと意外な感じがしました。そして、アメリカや日本なんだそうです。ヨーロッパの中でもドイツが多いらしく、これは、今は世界的に大変なことになっている自動車産業が未開拓の巨大市場、中国での技術特許化を進めているのかなあ、と思いました。友人は、「中国の家庭がそれぞれ1台車を持つなんて恐ろしいことは考えたくない、車が多すぎる!」と、言っていましたが・・・。

我々米国の知財に関わるサービスを提供する業者にとっての中国でのビジネス機会はどうかなー?と、聞くと、米国特許をもつ中国企業がまだまだ少ないこと、米国特許を買う重要性がまだまだ啓蒙される必要があること、などから、まだ数年はあまりないかもね、と、ワリと一刀両断なコメントでした(泣)。ううむ、世の中、うまくいかないものね・・・。
by suziefjp | 2009-01-13 09:27 | 知的財産権

知的財産権のお話を中心に、たべもののこと、アメリカのこと、いろいろお話ししていきますね♪


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