ここのところ、毎晩ウチの人のお気に入りのテレビ番組は「
The National Park - America's Best Idea」という番組です。アメリカの色々な国立公園の成立までの過程、そこにかかわった人々などのお話です。私も一緒に見てますが、日本では殆ど知られていないっぽい日本人、Masahara Izuka氏なども登場します。彼はThe Great Smoky Mountains National Park実現に貢献した一人で美しい山の写真を取り続け、その保護の重要性を訴えたそうです。英語版wikiではGeorge Masaとして掲載されていますが、残念ながら日本語版にはありません。彼は美しい山の保護に全身全霊をささげ、亡くなったとき、所持金は殆どゼロだったそうです。。。
また、アメリカの国立公園のお話にはロックフェラー2世は欠かせません。ロックフェラーは巨額を投じて国立公園の土地を多く買い上げて連邦政府に寄付したりしていました。こうした活動がなければ現在国立公園として知られている土地の多くは開発され尽くしていたと言われます。あるエピソードで、この景観を守るべき、と活動していた人がロックフェラーにプレゼンテーションをする機会を得たそうな。そこで彼は以前から考えていたプランについて熱弁を振るいました。これくらいのところを買い上げて保護すれば最低限の保護はできるだろう、と。コレに対してロックフェラーは「私が聞きたいのはこんな話ではありません。あなたの熱意に私は打たれてこれを検討しているのです。本当にこれを守ろうというあなたの熱意を考えれば、これだけの部分ではなく、このハシからハシまでの土地を買い上げて保護するとしたら、というプランを私は聞きたいのです。」と。
そこで今日のテーマ、80年代っぽいかもしれませんが、「本気」と書いて「マジ」と読む!です(笑)。私が今まで見たプレゼンテーションで思うのは、大体産学連携や技術移転がうまくいかないのは、本気度が伝わって来ないから。技術を発明した発明家や先生方の技術プレゼンテーションは正直、おもしろくないことが多いのです。この技術を使えばどんな素晴らしいことが世の中に起きるのか、そうした技術の付加価値が全く伝わってこず、どちらかというと、その技術がどれだけ難しいか、ひいてはそれは発明するオレってすごいじゃん?ということを伝えたいためにプレゼンしてるのかな?そんな気すらします。(うがった見方かもしれません、ごめんなさい。)プレゼンも、だからあなたは何がしたくて、聞き手に何をしてほしいのか、これがまったく伝わってきません。本気でやってらっしゃらない、とは、思いませんが、本気でこの技術を世の中で使われるようにしたい、という情熱や思いは伝わってきません。発明した本人にその程度の思い入れしかないとしたら、そんな技術を買って実施したい、あるいは、その技術に投資したい、という第三者がいるでしょうか。
ちょうど昨日、日本女性でアメリカに留学して博士号をとって起業しちゃったすんごい友人とメールで話していたのですが、彼女曰く、「この技術はすごい、だから買ってくれ」とか言う人はいるが、そんなにすごい技術なら自分でやればいいじゃん、と思う、と。これは我々業者も思います。もちろん、個人だからできない、自分達は中小企業で、市場拡大の可能性を考えれば自分達の手に負えないので買ってもらってそちらでやってほしい、そういうお話はたくさんあります。でも、ふと考えてみると、どうして個人だからできないのでしょう?どうして中小だから手に負えないのでしょう?自らの私財を投じ、投資家を募り、それで事業にしてしまえば個人でもできます。中小でも規模を少しずつ拡大していけばできないことはありませんし、まずは自分達で始めて、それが市場で広く受け入れられるようになればライセンスアウトして他の人たちにも製造・販売してもらえば市場の需要は満たせるかもしれません。
それを本人達が何かと理由をつけてやらないとすると、買い手にしても「そんなにスゴイ技術だけど自分でやらないのは、実はそれほどスゴイ技術じゃないからなんじゃないか?」とか、「どこかに落とし穴があるんじゃないか?」と思います。この友人によると、日本だろうがアメリカだろうが、「スゴイんです!」と言ってる本人が、どれだけ本気で、自分はこれにすべてをかける覚悟があるといった気持ちが伝えられなければ、誰も金を出さない、と。
確かに、あらためてプレゼンテーションを見てみると、「これだけのお金を出してください」で終わってるものって多くて、「じゃあ、あんたはなにすんのさ?」と聞きたくなるようなレベルのものがたくさんあります。私はこれをやる、そのためにこれだけの投資(金銭的、物的、時間的)をする、だからあなたにはこうしてほしい、それくらいクリアにプレゼンをしてもらえればもう少し考えられます。そのときに、私はこれをやる、これを投じる!というのがあまりにもしょぼければ、絶対ヤバイ話だと思うか、やる気ないんだな、と思うかのどちらかでしょう。
知財移転とか技術ベンチャーがどうもうまくいかない、成功しない、と言うのが通説になりつつありますが、これは実は統計のとり方の間違いかもしれません。本気で世に出したいと思っていないけど、とりあえず移転にトライしてみたり、誰かがお金出してくれるならやってみようかな♪みたいな「軽いノリ」でやってるものをまず排除し、心の底から、みっともないくらい本気でやろうとしたケースだけをベースに統計をとれば、案外、技術移転や技術ベンチャーは成功しているのかもしれないですね。